うつ病を患った部下が「電話はとれません」といった時に上司がやるべきこと

人を助けている人へ
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ブログ紹介の記事でも書きましたが、5人に1人はうつ病になるというほど高確率で「うつ」に巡り合うことになる昨今。部下がいるあなたにも必ず「うつ」になってしまう部下が現れます。もしかしたら「うつ」になった部下を他部署から任せられることになるかもしれません。というより、すでに受け持っているかもしれませんね。

そんなうつ病の部下を受け持つときは健常者とうつ病患者の違いを知っておく必要があります。今回は健常者なら叱咤激励するだけですむケースを元に考えてみましょう。

「電話業務はできない」という部下

うつ病患者が復職している最中、もしくは復職後も通院がつづいている場合、何かしら「できない」業務を抱えるものです。今回はその中でも良く聞く「電話業務ができない」という事象について考えてみましょう。

うつ病を患った人の多くが電話をでたりかけたりする業務ができなくなることが多いです。あなたの部下もおそらく同じ現象になったでしょう。「こんなん適当でいいのに」って思う電話も全くできない部下を見てあなたはどういう対策を打ちますか?

健常者なら場数を踏ます

そうですよね。普通の社員が電話業務が苦手なら「場数を踏めばなんとかなる」と何度もチャレンジさせることになると思います。私が新入社員の時もそうでした。いやぁ私、電話業務が苦手だったんです。。。

話しは多少脱線しますが、私が新卒で入社した場所は訛りが強めの地域でした。ですので、電話業務が苦手なのは方言が理解できないから。何度も聞き返すうちに相手が怒りだすこともしばしば、、、、怒られないように必死に聞き取ろうとするのですが、わからないものはわかりません。。。えぇ地獄でしたね(笑)

場数を重ねるメリット

っと、話をもどします。まぁ新入社員が電話業務が苦手なのは「なれていない」からなんですね。ですから、場数を踏むとなぜ大丈夫になるのかは以下の理由になりますね。

  • 頻繁にかかってくる人を覚えられる
  • 定型での受け答え方法を覚えれるため余裕がうまれる
  • 相手が自分を理解してくれて、理解しやすい言い回しをしてくれる
  • 何度も失敗するうちに、やってはいけないことと、やっていいことがわかってくる
  • 社内の状態が理解できてくる(こんな内容は、この部署の、この人と引き継ぎ先がわかる)

これは苦しくても何度も電話をでるしかありません。1か月もすれば平気で電話業務はできるようになります。

場数を重ねるデメリット

とはいえメリットばかりではありません。実はデメリットは健常者にもあります。それは失敗をずっと繰り返してしまうことによる「自身の喪失」です。人間できると思うことはできるようになりますが、できないと思い信じてしまったことはできなくなります。

電話先の相手にもよりますが強烈なクレーマー体質な相手がずっと続くと電話業務はできなくなることがあります。

良く聞くのはクレーム処理係の人が円形脱毛症になったという話。私の知り合いには10人ほどクレーム処理係の仕事を経験した人がいますが全員円形脱毛症になり、かつ、電話を見るだけで気分が悪くなったそうです。そして、精神を病みかけて皆転職しています。

ウソだと思う人は是非チャレンジしてみてください。業界ではツラさが有名なため時給はかなり高めですので結構稼げるそうです。でも、みんなやめていくので求人はいつもでているというブラックぶりですのでご注意を。(コールセンターの仕事を全て批判しているわけではありませんので悪しからず、、、)

うつ病患者はデメリットをモロにうける

そして、うつ病患者はこのデメリットを真っ正面から受けすぎて体調を崩す人が多いのです。出社しているだけでストレスMAXな状態なのに誰からかかってくるかもわからない電話に出るというのは恐怖といってもいいです。

もちろん体調がすぐれないため電話対応もうまくできません。そんな状態で繰り返し電話対応をさせると失敗の連続による多大なストレスにより体調を崩すのは間違いないです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

必死に頑張ろうとテキパキ業務をこなしているが顔には疲労の色が見えている復職中の男性

部下の状態をしっかりと把握する

まずは、部下の状態をしっかりと把握することから始めましょう。実はクレーム処理などの電話対応業務で「うつ病」になったとしたら、電話業務につかせることが間違いです。ですので配置転換を考えなくてはいけませんよね。

「そんなバカみたいなことするわけないじゃん」と思ったあなた。注意してくださいね。部下が何でうつ病になったのかをしっかり把握していない人は沢山います。「ストレスをかけないようにすればいいんでしょ」と甘くみていると、発症源となった業務につかせてしまいます。そして、そんな会社は沢山あります。

さて、偉そうなお説教ではここまでにして本題に入りましょう。イライラしたあなたは深呼吸をして落ち着いてくださいね。では、次のことから確認していってくださいね。

思考力低下の状況

なによりも重要な思考力。これをしっかり把握しておく必要があります。うつ病患者が復職する際は焦りのあまり「大丈夫です」とウソをつく場合もあるので注意してください。

簡単なテスト

この思考力を確認するのは簡単なテストをするのもいいでしょう。「業務負荷を考えたいから簡単なテストをさせてください」と本人に了承をえて行うのがベストですね。簡単な計算(九九や二ケタの掛け算)と音読(できるだけ早い速度で実施)が簡単に行えるところですね。

うつ病患者本人も気づいていない思考力低下がありますので、しっかりと観察してください。

早い会話

テストを実施するのが難しい場合は、キャッチボールのスピードが速い会話を10分程度するだけでもいいです。

実は健常者でもスピードの速い会話は難しいものです。返答がうまくできなかったり、話の内容がつながらない場合は思考力がついていっていない証拠です。ただし、専門用語や熟考しなければいけない会話はNGです。それは少数の頭のいいエリートしか早く切り返しできませんからね。

パニックの有無

思考力のチェックの次はストレス耐久力の確認です。うつ病患者はストレスに対する耐久力は著しく低くなっています。これは、どんな患者でも一緒です。ここで、問題になってくるのはストレスがかかると「パニック」を起こすかどうかです。

パニック発作を発症している場合は、かならず把握しておきましょう。パニック発作を起こすと意識を失ってしまう人もいますし、発狂してしまう人もいます。そんな状態では電話業務をやらせるのは慎重にならなければいけませんよね。

ストレス耐性の状況

発作を起こさなくても「頭が真っ白になってしまう」「不安でウロウロしてしまう」など挙動不審なったり思考力に影響が出ていないかをしっかりと把握しておきましょう。

電話対応中に軽度のパニックや頭が真っ白になってしまうと相手側は何が起きているか把握できません。本人もどうすることもできない上に、電話内容がわからないため周りもヘルプすることができません。

そうなれば相手側に迷惑をかけてしまいます。さらに、うまくできない自分をうつ病患者が追い込み、もっと電話業務ができなくなってしまいます。これでは本末転倒です。

うつ病のストレス源

そして、もっとも重要なのがこれ。「うつ病になった原因」ですね。ストレス源が上司だった場合などは上司を変える必要があります。そして、その上司のどの部分がどう負担だったのかをしっかりと把握しておきましょう。

部下をうつ病にする上司は最低最悪な性格の持ち主のこともありますが、ただの行き過ぎた指導が原因で性格は普通の人も多いです。ごく稀に別の人からみれば普通の人だったりすることがあります。これが誤解されやすい部分なんですね。

そういうときはたまたま部下と上司のかみ合わせがうまくいかない状態が進み、部下が潰れてしまったパターンだったりします。こういうケースでは患者自身のストレス耐性の低さがとりただされてしまい、誤解が独り歩きしてしまいます。

そうなると復帰するのが難しくなります。そういうケースでも「どんなことがストレスだったのか」を詳細まで知っておくことが重要です。大事な部下を同じ失敗で休職させない様しっかり把握しておきましょう。

電話対応の練習に使う電話

ストレス耐性の高め方

ここまで部下のことをしっかりと把握できれば復職はかなり前進しています。次は、部下の衰えてしまったストレス耐性を高めて電話対応をする準備をしましょう。

ロールプレイング

まず、もっともポピュラーなのがロールプレイングですね。営業職の人は結構やったことがあると思います。ちなみにパーソナルゲームではありませんので、間違わないでくださいね(笑)

これは、電話対応を疑似体験させるプログラムです。やり方は簡単。上司のあなたが、電話先の相手役になり部下に電話をかけてください。それに部下対応できればOKです。

できるだけ多くのパターンを練習できれば本番でもスムーズに業務をこなすことができます。ですので、考えうるパターンを全て出して実践してください。

受け手の定型を作成する

このロールプレイング事態もうまくいかない場合は、ちょっと難易度を下げましょう。電話対応業務のセオリー(王道、定型型)を部下に教えてあげ、それ以外の要件は別の人に回すようルール作りをするのです。

電話の引継ぎ業務のみに絞って電話対応をさせることが一番簡単です。要件を聞き、「少々おまちください」といって電話を保留する。そして、その後、担当へ電話をつなぐという流れを決めてしまうのです。この時、電話対応用のメモ用紙も準備しておくのがいいですね。

交代役を決めておく

とはいえ、都合よく引き継ぎの電話業務ばかりがかかってくるわけではありません。ですので、事前に引き継ぎ電話以外で連絡がきた時には誰に交代するか決めておきましょう。

そうすることで八方ふさがりになりパニックになることもありませんし、部下自身も安心して電話をとることができますよね。要件を聴き取れなかったり、依頼ごとだった場合は「担当に変わりますので少々おまちください」と回答すればいいのですから。

これならば交代相手に後で内容を確認しどう対応すればよかったのか復習ができますし、お客様に迷惑をおかけすることもありません。

無理をさせるボーダー

このようにうつ病を患っている部下にはストレス調整をしてあげることがセオリーです。とはいえ、ずっと何年もこれを続けるわけにはいきません。会社の業績によっては急にストレスMAX業務につかせなくてはいけない現状もあると思います。

会社の現状を説明

まずは率直に会社の状況を部下に説明してみてください。苦しい業績の時は苦しいといいましょう。会社が苦しい時は他の社員もうつ病になりかけているかもしれません。そんな状態で復職補助が万全にはできないでしょう。

「そんなブラック会社は潰れてしまえ!!」思われるかもしれませんが、ない袖は振れません。実際の現状を報告し、上司としてできる範囲も伝え一緒に前に進みたいと伝えることが重要だと思います。

もともと頑張りすぎてしまう部下だからこそ、その言葉はしっかりと聞いてくれると思います。現状をしっかり伝える姿勢を見せることは信頼関係の構築にもなります。勇気をもって正直に伝えてください。

本人とストレス度合いを確認

そして、会社の状態を伝えた後に本人とストレス度合いについて確認してください。もう少し頑張れますと部下は言うでしょうが、言葉だけでなく顔色や身だしなみなどを見ながら冷静に判断してください。

頑張り屋の部下は「役に立ちたい」と無理をしがちです。ですが、身だしなみが崩れていたりする場合は負荷が高すぎることがあります。その時は負荷を下げる相談をしましょう。

会社に余裕がある場合は、できる限り本人の歩幅に合わせてストレスレベルを上げてあげてほしいと思います。ですが、甘やかせすぎて長引くという事例もありますので、時には歯を食いしばりながら無理をさせることも大事になります。

電話業務だけ切り取って言えば1年たっても通常業務ができない場合は無理させていいと思います。これは私の個人的な見解ですので注意してくださいね。でも、一年かけてできない場合は何か原因があると思いますよ。

やらなければできないは正論ではある

現実は厳しいもので、想定通りにいかないのが普通です。どんなにうまくやろうとしても失敗してしまう。本当に嫌ですよね。ですが、チャレンジしなければ、できないというのは真実です。

何度も失敗しても、何とか立ち上がり前に進むしかありません。苦しくても痛くても少しでも前に進むしかないのです。厳しいかもしれませんが、それが現実となります。

やらなければできるようになりませんし、やらなければ「できなくなる」のが人間です。それを忘れずに部下をうまく前に進ませてあげてください。

何度もメモしては捨てメモしては捨てを繰り返しことで薄くなったメモ帳

まとめ:現状を把握し練習を重ねる手立てを立てよう

基本的にいきなり大きなレベルアップはできない。ということです。そして、うつ病をわずらうとレベルは信じられないくらい下がるというのが現実です。これを理解しないと失敗することになります。あなたの「これくらいできるだろう」はうつ病を患った部下には「できるわけない」だったりするのです。

それに気づかずに無理をさせ続けるとうつ症状は悪化してしまいます。無理させ失敗させ続けて自信を失わせ存在価値を奪うのです。

そうしないためにもスモールステップで挑んでほしいと思います。特にベリーベリーベイビースモールステップでお願いしたいと個人的には思います。

ですが、現実そんな甘いことも言っていられないでしょう。そんなとき忘れないでほしいのは部下としっかりと話し合うということ。無理をさせるが「お前がにくい訳ではない」「お前を見下しているわけではない」「お前をつぶしたいわけではない」と伝えることで部下の気持ちは180度違います。

その使った時間の分だけ、部下も前に進もうと動きだします。すこしでも前に進んでいたら、それを認めてあげてくださいね。

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