僕たちの生活に深く根付いているカフェイン。単体で摂取することはありませんが、カフェインが入っているものを飲んだりすることは多いです。特に、忙しくて寝不足がつづいたり、ここぞという所で踏ん張りたいときにコーヒーやエナジードリンク、コーラなどを飲んでカフェインを摂取することが多いですよね。
ただ、カフェインというのは摂取しすぎると社会不安症などの症状を悪化させてしまう効力をもっているんですよね。もちろん、うつ病を患っている人の不安症状を悪化させることもあるんです。
そんな身近だけど扱い方を間違うと自分を苦しめてしまうカフェインをもっと知れる本をご紹介しましょう。
おススメしたい人はこんな方!
「カフェインの真実」という本をおススメしたい方は以下のような人たちです。
- 日常的にカフェインを摂取している人
- 睡眠不足の時に意図的にカフェインを摂取している人
- 疲れているときにカフェインを使って無理している人
- 精神障害を患い、ツラい不安症状で苦しんでいる人
- 不安症状で困っている人を助けたい人
- カフェインのことを勉強したい人
どんな本なのか
この「カフェインの真実」という本は簡単に言えば「カフェインの歴史本」といっていいでしょう。そして
- 世界のどこで初めてカフェインが摂取されるようになったのか
- どのように全世界に広がったのか
- 身近なカフェインの使用用途について
- 人々の身体にどのような影響を及ぼしているのか
- アメリカやカナダ、オーストラリアでどのように制限されているのか
を勉強することができます。
日本の実情については本書の中に記載されておらず、役者による「あとがき」部分に軽く説明されている状態です。ですから、日本のカフェイン事情は深く知ることができません。
著者がアメリカ人であり、アメリカ人向けに作られた本であるため話の中心はアメリカとなっているんですね。また、消費者保護の先進国であるカナダやオーストラリアはカフェインに対する規制があることから、引き合いに出されますが他の国はあまり出てきません。
ですので、日本国内のカフェインに関する情報を調べたい場合は別の書物が良いでしょう。
目次
本書の内容は、多くの実例などを混ぜつつ、著者の意見を述べていきます。太字や強調表現もなく文字がびっしりと書いているような状態です。洋書の翻訳本にありがちなパターンであり、慣れていないと読むのが嫌になるかもしれませんね。どちらかといえば、学術本に近い位置づけであるため気軽に読もうとするのには適していないかもしれません。
参考までに目次を引用させていただきます。
序文 白くて苦い粉
Ⅰ 伝統的なカフェイン
第1章 カフェイン文化発祥の地
第2章 中国茶
第3章 山地のコーヒー農園
第4章 うまいコーヒーを創り出す
第5章 カフェインは依存性薬物か?
Ⅱ 新世代のカフェイン
第6章 コカ・コーラはレッドブルの先駆けだった
第7章 高温カフェイン注意!
第8章 中国製の白い粉
第9章 スタッカーからサンキストまで
Ⅲ カフェインが身体や脳へ及ぼす影響
第10章 アスリート好みの薬物
第11章 兵士のためのカフェイン
第12章 不眠症、不安、パニック
第13章 治療用のカフェイン
Ⅳ カフェインの規制
第14章 野獣を解き放つ
第15章 ラベル表示の裏で
第16章 決着
謝辞
訳者あとがき
註
引用元:カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと- p4-5
著者の訴え
筆者の訴えを簡単にまとめれば「カフェイン摂取には正しい知識が必要であり、消費者の安全を守るためには規制も必要ではないか」というものです。一番わかりやすい文章が序章にありましたので引用させていただきます。
カフェインはアメリカでもっとも人気があり、規制が一番ゆるい薬物なだけでなく、ジョージア州の小企業の製品を世界一有名なブランドに育て上げるのに貢献した食品添加物でもある。カフェインが精神に及ぼす影響力とアメリカ文化において果たしている大きな役割はもっと尊重されてしかるべきだし、消費者の健康を守るために、カフェインに関する適切な情報の提供と規制の強化が行われてしかるべきだと思う。
引用元:カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと- p18
筆者自体もカフェインのことを調べる前は無害で安全なものだと考えていたそうです。ですが調べれば調べるほど、問題点が多いことを知りました。もちろん、メリットもあり「ゼロにしろ」と言いたいわけではありません。正しい知識を広め、デメリットをもたらす摂取量になるような大量添加の商品がなくなるよう規制を作り、厳しく取り締まることが望ましいという考えなんですね。
特にアメリカの場合は、子供向けの商品においてもカフェイン含有量が高めのものがあるため注意が必要だと述べています。また、アメリカ特有の大容量販売も問題になる原因になっていると訳者は述べていますね。
日本においては問題になることがあまりない理由について訳者は
日本でも、カフェインを含む栄養ドリンク剤が長年販売されてきたが、容器も小ぶりで、特に成人男性向けの販売戦略をとっており、重大な健康問題が起きたという話は聞かない
引用元:カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと- p346
と意見を述べています。
確かに日本ではアメリカのようなビックサイズで販売されることはありませんね。ただ、現在はコストコなどの輸入商品を扱う会社も増えてきました。そういう場所で大量に買う時はカフェインは注意が必要だと僕は思います。
著者からのメッセージ
「カフェインの真実」で著者のメッセージは「正しい知識をもって、カフェインはコントロールしてほしい」ということだと僕は感じています。
「ちょっと疲れたからコーヒー飲んでくるわ」というような日常会話の中ではカフェインの恐ろしさを気付きにくくなる。それほど生活に溶け込んでいるからこそ、正しい知識を習得して欲しい。誰もが思っているように完全無害ではないのだ!!
というのが著者からのメッセージだと受け取っています。
おすすめポイント
「カフェインの真実」という本のおすすめポイントは以下です。
- 私たちの知らないカフェインの新しい顔を知れる
- カフェインの有害な部分を知れる
- カフェインの歴史を知れる
- 海外でのカフェインの取り扱いを知れる
という感じですね。
勉強になったこと
僕の中で面白かったのは「カフェインというものが、元々は呪術者や王侯貴族専用の【魔法の薬物】だった」という点ですね。今では100円前後でコーヒーやコーラを飲めます。それほど身近なカフェインが、大昔では権力者しか飲めない貴重なものだったというのは、かなりの衝撃でした。
こういう歴史を知れるのは面白いですよね☆
書籍情報
今回ご紹介した本は以下のものです。
初版年月日:2016年12月30日
発行所:(株)白揚社
ISBN:978-4-8269-0193-2
ページ数は364と、かなりのボリュームがある本です。内容も難しい用語が多く手軽に読める感じではありません。洋書の和訳特有のイメージの本という感じです。
ですが、
- 貴重な研究情報や事例
- カフェインの歴史
- やカナダやオーストラリア、アメリカでのカフェイン規制情勢
- カフェインをウリにしている清涼飲料水の情報
- エナジードリンクの注意点
- スポーツや軍事、医療におけるカフェインの利用
などなど、普段では知ることのできない情報がたくさん盛り込まれています。ですので、僕としては有意義な本となりました。
著者情報・訳者情報
著者情報は以下となります。
マリー・カーペンター(Murray Carpenter)
科学ジャーナリスト。コロラド大学で心理学の学士号。モンタナ大学で環境学の修士号を取得。ニューヨークタイムズ、ワイアード、ナショナルジオグラフィックなどの紙誌に執筆するほか、ラジオ番組のレポーターとしても活躍。2015年、「カフェインの刺激」を含むデジタルビデオシリーズでプロフェッショナル・ジャーナリスト協会(SPJ)のシグマ・デルタ・カイ賞を受賞
(本書発売時点での経歴)
また、役者である黒沢令子によれば
米国でも環境や食の安全に対して住民意識が高い先進地域に在住するジャーナリストで、ダムを取り壊した川にサケが還ってきた事例など、環境問題に関する報道も多く手掛けている
引用元:カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと- p343
という情報もあります。
訳者情報は以下となります。
黒沢 令子(くろさわ れいこ)
鳥類生態学研究者、翻訳者、米国コネチカットカレッジで動物学修士、北海道大学で地球環境学博士を取得。NPO法人バードリサーチの研究員の傍ら、翻訳に携わる。主な訳書に『羽』『岩は嘘をつかない』『動物行動の観察入門』(以上、白揚社)、『フィンチの嘴(くちばし)』(共訳、早川書房)、『極楽鳥全種』(日経ナショナルジオグラフィック社)などがある。
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