うつ病を理由に仕事を辞めてしまったあなた。理由は色々あるでしょうが、最大の理由は「働けない状態になったから」ではないでしょうか?そうなると先の不安が一気に募っていますよね。
さらに失業者の収入補助である雇用保険の基本手当は働ける状態に無いと受給できません。じゃぁどうしたらいいのか?そんな人のためにこの記事を送ります。
基本手当受給資格の確認
あなたも調べた事だと思いますが念のため雇用保険の基本手当受給資格を確認しておきましょう。条件は以下の3つになります。
- 基本手当をもらう本人に就職する意思(思い)と能力がある。
- 一生懸命就職活動していても職が見つかってない人
- 仕事を辞めた日以前の2年間に雇用保険に12か月以上加入している
ですね。ここで注目してほしい部分があります。1と2に対しては自己申告ということ。この自己申告が重要です!
あなたの「働けない」のレベルはどこか
あなたは今、正社員でフルタイムで働いている会社を辞めました。その理由は「うつ病で働けなくなったから」です。ですが、ここで詳細に整理しましょう。それは、あなたが何をできて何が出来ないかです。
フルタイムでない勤務なら働ける
結構多いのがこれ。正社員だったからフルタイムの仕事しか頭にないんです。ですが、求職活動にはパート職も含まれております。このパート職はフルタイム(8時間勤務など)でもないですし、週3~4日というものあります。
どうですか?これくらいなら働けそうではないですか?もし働けそうだと思ったら、あなたは基本手当の受給基準の1を満たせているということになります。
今自分の行動範囲を知ること
固定観念を取り払うために、実際に自分がどれくらい動けるかを記録してみましょう。一日5時間くらいなら何かするのも大丈夫。といったように具体的に自分が何が出来て何が出来ないかを記録していくんです。これは、治療にも役立ちますし、就職する際にも役立ちます。自分が働けないって思っていても短時間なら働けることが多いです。
ウソの申告は絶対にNG
ただ、注意が必要なのは自己申告だからとウソの申告をしようとすること。これは絶対にダメです。自己申告なんですって言うと嘘をつこうとしてしまう人がいます。切羽詰ってそういう思考になってしまうのはわかりますが、良いことがないので辞めましょう。
たとえば月の内8~9割方寝込んでいるような方が「パートをできる」と申請してもいいことはありません。基本手当をもらうには失業認定をもらうために月1回、ハローワークに行きます。そして、月2回の求職活動が必要となります。
これが出来ないと基本手当の受給はできません。そうなると無給ですよ。無給。それだと生活が不安定になります。そういう人には後述するように各種制度や障害年金の申請を視野に入れて欲しいのです。
障害年金は「働けない人の援助」です。雇用保険の基本手当で働けるとウソの申告をしていたら障害年金は絶対に認定されません。わかってもらえましたでしょうか?良いことないですよね。
どう考えても働けそうにない人へ
自分の働けるレベルを整理した結果、やっぱり働けそうにない(パートも無理。決まった日に働きに行けるか約束できないほど体調が悪いって人など)となった場合は雇用保険の受給期間延長を申請しましょう。
受給期間の延長を申請できる場所・方法
まず、申請できる場所と方法について知っておきましょう。申請できる場所は2つの方法があります。それは
- 住んでる住所を管轄するハローワーク
- e-Gov(イーガブ)と呼ばれる電子政府の総合窓口サイト
1、の方法は直接ハロワに行って窓口で手続きをする方法と郵送による手続きの二通りがあります。また、窓口での申請は本人手続きの他に代理人手続きが出来ます。その場合は委任状が必要となりますのでハローワーク窓口で申請書をもらわなければいけません。
2、のe^Gov(イーガブ)は受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請ページに電子申請の方法が書いてあります。それを参照しながら申請してください。サイト中腹に電子申請方法のご案内ファイル(PDF)というファイルがあります。これを読んで実施すれば問題ないでしょう。
受給期間の延長を申請に必要な書類
申請に必要な書類は以下の5つです。
- 受給期間延長申請書
- 離職票-1
- 離職票-2
- 本人の印鑑(認印)(シャチハタ不可)
- 必要に応じて各種証明書(各所ハローワークの判断による)
です。
先ず、1の受給期間延長申請書ですがネット上で手に入れることはできません(2016年12月14日現在)(追記①参照)ハローワークに一度赴き、申請書を窓口でもらって書きましょう。
再調査の結果、ネット上で書類を入手できることが判明しました。また、e-Gov(イーガブ)と呼ばれる電子政府の総合窓口にて電子申請が可能となっております。書式のダウンロードはe-Govの受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請ページの中段リンクからできます。
離職票は退職した後に会社からもらえますので、お手元にあるはずです。本人の印鑑は認印なので100円均一の安い三文判で十分です。次に、各種証明書ですがこれは各種病名や各ハローワークで要求されるものが異なります。
健康保険の傷病手当金を受給中の人は「傷病手当金の申請書」または「傷病手当金の通知書の写し」などが使えます。また、医師による診断書も使用できますね。もし不安になるようであればハローワークに電話確認するか直接聞きに行けば確実ですね!
受給期間の延長が申請できる日程
雇用保険の受給期間を延長申請できるのは「離職日の翌日から30日を過ぎてから1か月以内」です。もうややこしいですが、「会社を辞めてから1か月後から2か月未満の間に申請しな」ってことなんですね。
なぜこんな厄介かといえば「30日間働けなかった」と証明する必要があるんですね。だから1か月後に申請なんです。忘れないように申請しましょう。
申請できる日程を過ぎてもすぐに申請しよう
上記にて離職後30日後から1か月以内と説明しましたが、それを過ぎても申請する事は可能です。その時は過ぎた日数分が受給期間から引かれるという処理が行われます。
例えば、あなたの受給期間が1年間だったとした場合、申請を30日遅れてしたとしましょう。そうなると、延長できる期間は「330日分だけ」になるんです。
これでも、延長することが出来る日数が沢山あるんですから申請して損する事はありません。期限が過ぎてもすぐに申請するようにしましょう。
受給期間の延長をするメリット①
延長を申請するメリットは2つあります。まず一つ目は「受給できる給付金を全て期間受け取るため」です。というのも雇用保険には受給期間が原則1年というルールがあります。
原則1年ですが、1年+30年になる場合と1年+60日になる場合があります。それについては、別記事で紹介する予定です。
というのは、90日間の基本手当をもらう権利があっても、ケースによっては全てもらえないことがあるんです。離職から300日間働けなく、301日目から大丈夫と判断して雇用保険の手続きにハローワークに行ったとします。その301日目が受給資格決定日になるため待機期間7日を考慮すると受給開始は309日目からとなります。
ここで原則1年のルールが問題になるのです。離職日から309日経過しているため受給できる期間は360日-309日=51日間です。元々90日分貰えるはずだったのに51日分しかもらえないんですね。
これでは90日-51日=39日分損しています。仮に1日5千円もらえるなら18万5千円損したことになります。勿体無いですよね。
そのため、受給期間を延長してもらえる期間を後ろにずらしてもらうのです。
受給期間の延長をするメリット②
また、メリットはもう一つあります。それは受給制限(3か月)が休んである間に消化されていくということです。メリット①で話した人が仮に給付制限3か月がついていたとしたら、さらに30日間給付してもらえず基本手当がもらえるのは21日だけになります。
これは大問題です!!ですが、受給期間の延長をしておけば、延長申請してから3か月間で受給制限を消化してもらえるので4か月目に受給資格決定の手続きをしたとしても受給制限は0日になります。そうすれば、働けるようになってからすぐに基本手当がもらえるので生活が安定しますね。
受給期間を延長できるのは何年か?
受給期間を延長できるのは延長理由によって異なります。以下の表を見て頂けるとわかりやすいでしょう。
延長理由 | (1)病気やけが、妊娠、出産など | (2)60歳以上の定年等による離職 |
延長期間 | 最長3年間※1 | 最長1年間※1 |
※1所定給付日数330日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年-30日及び3年-60日となりますので注意してくださいね。
※延長期間は人によって異なる場合があるので、必ずハローワークに問い合わせるようにしてくださいね
延長理由の(1)をもっと詳しく説明すると以下になります。
- 病気、ケガ
- 妊娠、出産
- 育児(3歳未満の子に限ります
- 親族の看護または介護
※親族とは、6親等以内の血族、配偶者および3親等以内の姻族をいいます。 - 配偶者の海外勤務への同行
- 青年海外協力隊など公的機関が行う海外技術指導による海外派遣(派遣前の研修を含みます。)
これらに該当する場合は、最長3年延長できるんですね。うつ病以外にも様々な理由で延長が出来るのがわかります。
受給期間延長の申請手続きに関するまとめ
申請は結構ややこしいルールが沢山ありますね。ここでは、単純に概要をまとめてみましたので活用してくださいね。
延長理由 | 病気やけが、妊娠や出産など | 60歳以上の定年等による離職 |
提出期限 | 離職の翌日から30日を 過ぎてから1か月以内 |
離職日の翌日から 2か月以内 |
延長期間 | 最長3年間 | 最長1年間 |
提出書類 | 受給期間延長申請書 離職票-1 離職票-2 本人の印鑑(認印) 必要に応じて各種証明書 |
|
提出先・申請場所 | 住所地を管轄するハローワーク e-Gov(イーガブ)と呼ばれる電子政府の総合窓口 |
延長申請をしたら、しっかり休養しよう
延長申請をしたら、治療に専念しましょう。数か月療養すれば働けるようになる人は沢山います。働けないことをいくら責めても、どんなに悔いても何も変わりません。辛いですが、治療に専念するようにしましょうね。
そして、また働けるようになったら求職の申し込みをハローワークにし基本手当を受給してもらいながら仕事を探し就業を目指しましょう。
金銭不足で困窮してしまう場合
上記のように、基本的に「働けない状態」では雇用保険から何か援助をもらうことはできません。あくまで「働ける」ことが前提の制度なのでしょうがないですね。
とは言うものの生活していくにはお金が必要です。うつ病が酷く働けなく、かつ、貯蓄がなければ衣食住を保つことが出来なくなります。そんな時は親や兄弟などの親族で助けてもらえる人を探しましょう。病気を治す期間だけ援助してもらえれば元気になって恩返しすればいいんです。そんな人はいないよ。。。って人へは頼れる制度をご紹介しましょう。
「住居確保給付金」の支給
次にご紹介するのは住まいを失った人、もしくは、失いそうな人に住まいを提供するための給付金です。
住居を喪失している方又は喪失するおそれのある方は、一定の要件を満たせば、原則3ヶ月間(一定の条件により最長9ヶ月までの延長可能)、賃貸住宅の家賃のための「住居確保給付金」(地域ごとの上限額及び収入に応じた額(例:東京都区市・単身者・収入84,000円以下の場合月53,700円))の支給を受けることができます。
引用元:ハローワークインターネットサービス 失業された方からのご質問
これを申請するには以下のような要件・就職活動の実施などが必要となります。
- 住居確保給付金の支給は、次の要件のすべてに該当する方を対象としています。
- 離職等により経済的に困窮し、住居喪失または住居喪失のおそれのあること
- 申請日において65歳未満であって、かつ、離職等の日から2年以内
- 離職等の日において、その属する世帯の生計を主として維持していたこと(離職前には主たる生計維持者ではなかったが、その後離婚等により申請時においては主たる生計維持者となっている場合も含む)
- 申請日の属する日における申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計が「基準額(※)」に申請者の居住する賃貸住宅の家賃額を合算した額以下であること
※ 「基準額」=市町村民税均等割が非課税となる者の収入額の1/12- 申請日における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の預貯金の合計が「基準額」×6(ただし、100万円を超えないものとする)以下であること
- ハローワークに求職申込みをし、誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと
- 国の住居喪失離職者等に対する雇用施策による貸付又は給付(職業訓練受講給付金等)及び地方自治体等が実施する類似の貸付又は給付等を申請者及び申請者と生計を一とする同居の親族が受けていないこと
ただしこれらの貸付又は給付等が終了した後、なお支援が必要な場合は本手当の支給を受けることができます。- 申請者及び申請者と生計を一つにしている同居の親族のいずれもが暴力団員でないこと。
- 住居確保給付金の支給を受ける方は、支給期間中に次のイからハによって、常用就職に向けた就職活動を行うことが必要です。
- 毎月2回以上、ハローワークの職業相談を受けること
- 毎月4回以上、各地方自治体の自立相談支援機関の支援員等による面接を受けること
- 原則週1回以上、求人先へ応募を行う、又は求人先の面接を受けること
- 毎月の支給額は、貸借する住宅の賃料月額相当額です。
ただし、地域ごとの上限額及び収入に応じて調整される額(例:東京都区市・単身者・収入84,000円以下の場合月53,700円)が上限となります。- 支給期間は原則3ヶ月間です。ただし、一定の条件により最大9ヶ月までの延長が可能です。
あなたは要件を満たしていますか?
住まいがなくなると生活が成り立たなくなります。そうなると就職もできなくなりますよね。それを防いで就業できるように支援するための給付金がこれになります。
原則3か月ですが、「受給中に誠実かつね真に就職活動を行っていた」かつ「世帯収入と預貯金がが一定額以下であること」の要件を満たすと延長と再延長を申請で来て最大で9か月支給してもらえます。
3か月給付してもらっても、まだ生活が不安定な時は収入と預貯金がわかる書類を準備して役所の福祉課に相談しましょう。
「臨時特例つなぎ資金」の貸付
この貸付は各種制度を申請中に、給付金などのお金が入るまでの間の生活資金を貸しますっていう資金貸付になります。
失業など給付や住宅手当などの離職者を支援するための公的給付制度または公的貸付制度を申請している住居のない離職者のうち、給付・貸付けが開始されるまでの間、当面の生活費の支援を必要とする人は、「臨時特例つなぎ資金貸付」を活用することもできます。これは、10万円までの資金を、連帯保証人なしで、無利子で貸し付けるものです。貸付けを希望する場合は、市区町村の社会福祉協議会の窓口にご相談ください。
これにある通り、10万円まで「連帯保証人なし」かつ「無利子」で貸してくれるんですね。制度を申請したけどすぐにお金がないと生活が出来ないという人のセーフティーネットになります。ただ、こちらも「貸付」のため返済義務がありますので注意してくださいね。
健康保険の傷病手当金の給付(資格喪失後の継続給付)
これは健康保険による制度で雇用保険の傷病手当とは別物ですので注意してください。在職中にもらっていた人も、もらっていなかった人も条件がそろえば退職後に支給してもらえますので生活の足しにできますね。それでは、それぞれの場合に分けて説明していきましょう。
離職以前に傷病手当金をもらっていた人
こちらの方々は以下の1点を確認しましょう!
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
引用元:全国健康保険協会 傷病手当金についてより
長いこと勤めていた人なら安心ですが、入社間もない場合は注意が必要ですね。そして、もう一つ注意点があります。それは、「退職日は出勤しないこと」です。
退職の手続きをしに最後の日に出勤したなんてことになったら、退職後に継続して傷病手当金をもらえなくなるので注意です。この理由は「退職した日が労務可能だった」ということになってしまうからですね。労務が可能=働ける状態という認識になるので傷病手当金の支払い対象外になります。
そのため、退職の手続きは郵送や電話でやるのが無難です。どうしても対面で処理しないといけない手続きがあるのならば、表向きは欠勤(有給休暇OK)した状態で手続きにだけ会社に行くのがいいですね。それってウソつくことになるんじゃないの?って思いますが全然嘘ではありません。
手続き自体は丸一日かかることなんてありません。数時間ですみますので、その時間だけ出勤したとしても労務可能とはいえませんよね。それに、辞める手続きに関して会社側が呼び出しているんですから、嘘となる方が極めて異常です。お世話になった会社ならしっかりと考慮してくれますから安心してください。ブラックはご注意を!
離職以前に傷病手当金をもらっていなかった人
こちらの場合は、以下の2点を確認しましょう。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
(なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません。)引用元:全国健康保険協会 傷病手当金についてより
ですね。重要なのは「受ける条件をみたしている」を言う部分ですね。これを確認するためには、まず仕事についている状態の時に健康保険の傷病手当金の受給ができる条件を確認する必要があります。その条件は以下の4つです。
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
- 病無蓋の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 仕事に就くことが出来ないこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと
これが就業中に傷病手当金を受給できるか確認する事です。これを退職後の条件に変えると以下の4条件になります。
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことがあった
- 仕事に就けなかった休みは業務外の事由による病気やケガの療養のための休業があった
- 今も仕事に就くことが出来ない、または働けないこと
- 休業した期間について給与の支払いがないこと、もしくは他の給付制度を利用していないこと
他の給付制度とは雇用保険の基本手当、老年年金、障害年金などが当てはまります。
いかがですか?当てはまっていますか?また、こちらの場合も退職日の出勤はNGです。退職後に傷病手当金を受給する事はできなくなるので注意してくださいね。
これらを満たしていれば就業期間中に傷病手当金をもらっていなくても受給する事が可能ですので申請しましょう。申請方法は通常の傷病手当金と同じですので後日記事にして説明します。
傷病手当金の支給期間
傷病手当金の支給期間は最初の受給から「1年6か月」です。働いている時からもらっていた人は1年6か月より短い期間になりますが、もらっていなかった人は1年6か月まるまるもらえますので、生活を安定したまま治療できますね。
また、傷病手当金が切れるまでに元気になれば、期間延長をしている雇用保険の基本手当の受給が可能になるので、就職活動中も生活が不安定になることはありません。これをうまく使っていきましょうね。
傷病手当金をもらうのに会社への遠慮は必要なし
ちなみに、傷病手当金を申請する際に「会社に申し訳ないのでもらいたくない」とか「会社が許してくれないと思う」という人がいますが、これは間違いです。基本的に会社と健康保険組合は別組織であり、あなたが傷病手当金をもらおうがもらわないでおこうが会社には別段変わることはありません。
そのため、もらうことを妨害されない(むしろされたら犯罪)ですし、健康保険料を納めていた人がもらえる制度なので大手を振ってもらいましょう。そのための保険制度なんですからね。遠慮する必要はないのです。雇用保険同様、困った時には盛大に利用し、元気になって働けるようになったら保険料を納付して他の困っている人に使ってもらいましょう。それが保険なんですから。
障害年金の受給
さて、では雇用保険も健康保険も当てにできない場合を考えましょう。その場合は、障害年金を検討しましょう。障害年金とは病気やケガで障害を負ってしまい働けない人の生活を守る制度です。
年金(国民年金・厚生年金)に入っていて条件を満たせば受給することが出来ます。病院で症状を見てもらった「初診日」に支払っていた年金の制度が使えるので、退職後でも厚生年金の制度を申請することはできます。詳しくは「うつ病になって働けなくなった。という人へ贈る。障害年金というセーフティーネット」をご覧になってください。もらえる資格がある可能性があります。
厚生年金を支払っていた人なら障害年金3級が該当されるため、重症度が比較的軽くても申請が通る場合があります。
精神に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
が障害年金3級の条件ですので、パートが出来ても受けとれる可能性があります。もちろん、症状が重く、全く働けないって人は1級をもらえる可能性があります。昨今は受給審査が厳しくなってもらえないことが多いと巷で噂されていますが、ダメ元でも申請しましょう。もらえることで生活が安定するのですから、もらえる可能性があるなら全部申請するくらいな気持ちでいきましょう。
生活保護の受給
これはセーフティネットの最後の砦です。雇用保険も健康保険も障害年金も全部だめで、かつ、生活するお金が全然なくてどうしようもないって人は生活保護を検討しましょう。
生活保護をもらえる要件
生活保護をもらえる要件は以下のようになっています。
生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
引用元:厚生労働省 生活保護制度より
詳しい解説は以下のような感じですね。
- 資産の活用とは
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。- 能力の活用とは
働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。- あらゆるものの活用とは
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。- 扶養義務者の扶養とは
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
そのうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。引用元:厚生労働省 生活保護制度より
もっと簡単に説明すれば
- 頼れる人は誰もいない
- お金に変わるものは何ももっていない
- 働けない
- 他の制度でお金をもらうことはできない
という人が受給資格があるんですね。もう、文字通り「どうしようもない」状態です。ほっとけば生きていけない状態です。生活を立て直すためにも、まずは申請してみましょう。申請するのは住んでいる地域を所管する福祉事務所です。
生活保護の申請手順
手順は以下となります。
- 自分の住んでいる場所を所管する福祉事務所へ行き相談
ここで、生活保護制度の説明をうけ、かつ、職員によって他の制度が使えないか調べてもらいます。他に使える制度があればそちらを優先して申請します。 - 生活保護を申請
他の制度を調べてもない場合は申請することになります。 - 各種調査の実施
- 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
- 預貯金、保険、不動産等の資産調査
- 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
- 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
- 就労の可能性の調査
- 生活保護の受給
です。どうしていいかわからんって人も安心してください。おさえるのは一つ。福祉事務所に行くことです。良いですか?福祉事務所へ行くことです。自分がどの福祉事務所に行けばわからない人は、厚生労働省HPの福祉事務所一覧から最寄りの場所を探し赴きましょう。
生活保護の内容について
生活保護をもらえることが決定すると以下の費用扶助を受けることが出来ます。
生活を営む上で生じるお金 | 扶助の種類 | 支給内容 |
日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱費等) |
生活扶助 | 基準額は、 1、食費等の個人的費用 2、光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。 特定の世帯には加算があります(母子加算等) |
住まいの家賃 | 住宅扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
義務教育を受けるために必要な学用品費 | 教育扶助 | 定められた基準額を支給 |
医療サービスの費用 | 医療扶助 | 費用は直接医療機関へ支払 (本人負担なし) |
介護サービスの費用 | 介護扶助 | 費用は直接介護事業者へ支払 (本人負担なし) |
出産費用 | 出産扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
就労に必要な技能の習得等にかかる費用 | 生業扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
葬祭費用 | 葬祭扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
医療費や介護費を負担しないで済むのは大きいですよね。これで安心して治療することが出来るはずです。また、生業扶助の中には資格取得の費用も支給してくれる部分があります。(技能習得費と言います)
フォークリフトや訪問介護員2級養成研修課程修了などが該当します。また、生業扶助の中には就職支度費というものがあり就職が決まった場合にスーツや靴など必要な物を買う費用も扶助してもらえます。
これだけあれば、生活を立て直すことは可能ですよね。ですから、安心して治療に専念しましょう。
生活保護申請を迷っている人へ
昨今、不正受給など不正をする人のせいでニュースで話題になることが多いです。ですから、生活保護はイメージが悪く、要件を満たしていても申請しない人がいます。また、本当に申請していいんだろうか、、、自分はもっと頑張れるんじゃないだろうか、、、と悩んでしまう人も沢山います。本当に必要な人に届かないのは本当に悲しいことです。
まず生活を立て直して働けるようになるのが一番重要なことです。一時的に生活保護をもらって生活を立て直せた人は沢山います。また、不正受給をする人がいるせいで受給の審査は厳しいです。ですから、ダメな人はちゃんとダメって言われますから余計な心配をせず安心して申請しましょう。あなたに資格がなければ受給できません。資格があれば受給できます。
お金がないと生活を立て直せないこともあります。悩む気持ちも申請したくない気持ちもわかります。ですが、頼ることの重要性も考えてください。
健康保険や雇用保険などの部分でも話しましたが、使える制度を利用するのは悪ではありません。悪なのは「不正に受給」することです。あなたは真面目な人です。誠実な人です。頑張ろうとしています。でも、今はうつ病のせいで働けないのです。他の制度も使えない状態なのです。そんな状態でお金もなくて生活を立て直すのは難しいでしょう。
元気になって働けるようになったら税金を納めて恩返しすればいいのです。あなたが元気になるための制度と捉えてもいいでしょう。「どうしようもない状況」だからこそセーフティーネットとしてあるのです。ですから、一歩踏み出して使ってみましょうね。
まとめ:働けないレベルを確認して、ダメなら期間延長・制度申請しよう
フルタイムで働いていた人がうつ病になり働けなくなると「もうどこでも働けない」と思ってしまうことが多いです。ですが、視野を広げれば「あなたは働ける人」なんです。まずはパートでもいいから仕事を探し働けるよう動きましょう。そうすれば基本手当をもらいながらの就職活動もできます。
再度考えても働けない人は忘れずに「雇用保険の受給期間延長」の申請をしましょう。せっかくもらえる資格をみすみす捨てる必要はありません。元気になった時に基本手当をもらえるように延長してください。そして、お金が全然なくて生活が安定しない人は各種制度を検討してください。
必ずあなたを救う制度があるはずです。その制度を活用し、生活を立て直すきっかけにしましょう。どの制度も元気になり働けるようになったら恩返しできます。ですから、悩んだり辞めたりせずに申請してみましょうね。
また、制度がややこしくてわからない人も安心して下さい。まずはこの記事をプリントアウトするかブックマークしてください。各題目をメモするだけでもいいです。そしたら、それらをもってまずはハローワークへ行きましょう。そうすれば雇用保険の受給期間延長の申請が出来るよう職員が促してくれます。
そして、生活が苦しくて困っている人はその事を職員に伝えましょう。そうすれば、各種制度を検討してくれるか、福祉事務所を紹介してくれます。そうなれば、そちらにいって、また相談すればいいのです。まずは赴き相談する事。これさえできれば、道は開けます。良くわからなくていいです。キーワードを抑えて、行動すれば大丈夫です。
コメント
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