最近、メンタルヘルス関連の活動で名前をよく聞く英国のウィリアム王子。なぜかというと、メンタルヘルス啓蒙活動「Heads Together」を推進しているからだ。ウィリアム王子だけでなくキャサリン妃やハリー王子もキャンペーン立ち上げにかかわっており、今までにはレディーガガなども賛同し配信動画などに現れている。
これらの活動は主に「精神的な問題をオープンにしよう」とうたっている。著名人のカミングアウトにより精神障害の社会的に受け入れをねらう意図もある、この活動は素晴らしいと感じる。今回は、その活動をまとめてご紹介症と思う。
活動内容
現在、ニュースなどで紹介されているウィリアム王子たちの活動内容は以下のものです。(随時更新予定)
ヘンリー王子のカミングアウト
まず、初めに報道されたのはヘンリー王子のカミングアウト。ヘンリー王子は母親であるダイアナ妃の死により精神的にかなりの苦痛に見舞われていました。当時、彼は12歳。母の死を受け止められる要素などあるわけがない年齢です。そんな幼い彼は、感情を押し殺し周りに相談しなかったため自体は悪化。素行が悪くなり辛い日々を過ごしていました。
彼はツラい思いを感じ乍ら28歳の時にカウンセリングを受診。そこで、自分の克服へのスタートを切ったとのことでした。
これをカミングアウトしたのは2016年7月24日にケンジントン宮殿で行われたメンタルヘルス啓蒙活動「Heads Together」のイベント。他のメンタルヘルスを患っている著名人も参加してメッセージを伝えました。
イベントは7月24日にケンジントン宮殿で「“精神的に強い”と考えられているスポーツ選手や、ロイヤルファミリーでもメンタルヘルスの問題を抱える」ということを伝えるために開かれた。元イングランド代表のサッカー選手リオ・ファーディナンドや、自転車レーサーのヴィクトリア・ペンドルトン、元陸上競技選手のケリー・ホームズらが参加した。
ファーディナンドは2015年にがんで妻を亡くした。彼に、母の死について語ってこなかったことを後悔しているか聞かれた王子は「これまで話してこなかったことを本当に後悔している」と答えた。
1997年に自動車事故で母であるダイアナ妃を亡くした時、ヘンリー王子はまだ12歳だった。母親の死について「28歳まで全く話さなかった」という。
ヘンリー王子は、BBCに次のように語っている。
「苦しんだっていいんです。そのことを周りに話せる限り。それは弱さではありません」
「弱さとは、問題を抱えながらそれに目を向けず、解決しようとしないことです」
「多くの人たちが、『仕事についていれば、経済的に安定する』『家族がいれば、家がある』と考えています。それさえあれば、問題なく生きていけると考えています」
「リオ・ファーディナンドのような人は『莫大な額のお金を稼ぎ、サッカー選手として大成功していて、高価な車に乗っている人』と見られるでしょう。だけど彼は、若くして妻を失ったことに苦しんでいる人なのです」
「苦しむことは、全くおかしいことではありません。どんな仕事をしているかどうかは関係ないのです」
そして、「私が伝えたいのは、どんな人でもメンタルヘルスの問題を抱える可能性があるということです。ロイヤルファミリー、兵士、スポーツ選手、運転手、母親、父親、子供。誰にだって起きることです」と述べた。
引用元:HUFFPOST LIFESTYLE JAPAN ヘンリー王子「母の死について語ればよかった」 メンタルヘルスの問題を告白
彼の最後の言葉はとっても僕の心に響きました。「メンタルヘルスは誰でもなる。強い強くない関係ない。」このメッセージが広まれば「メンタルヘルス=甘え」という誤解により苦しんでいる人は少なくなると思います。
また、ヘンリー王子はイベント以外にも自身の苦しんだ心内をテレグラフ紙という雑誌のインタビューで明らかにしています。
<外部サイト>「つらい時は、感情を押し殺さないで」ヘンリー王子が語る 母・ダイアナ妃との別れ
こういう克服した人が自分の経験をカミングアウトすることは苦しんでいる人の心の支えになりますよね。どんな人でもなる。そして、乗り越えられる。そう思うことで治療にも専念できると思います。
ヘンリー王子は、やんちゃをしていた過去とは違い今は以下のような活動を精力的にやっております。
最近では、怪我をして身体が不自由になった軍人たちのためのスポーツイベントや、地雷撤去活動、エイズ検査の啓蒙活動、アフリカでの象保護活動など、メンタルヘルス以外でも様々なチャリティー活動に携わっている。
引用元:HUFFPOST LIFESTYLE JAPAN 「つらい時は、感情を押し殺さないで」ヘンリー王子が語る 母・ダイアナ妃との別れ
自身のフェイスブックのエイズ検査の動画をupするなど色々な手法で活動をしております。知名度もあるため、こういう活動はとっても素晴らしいと感じます。僕も負けずに色々な活動をしたいですね。
ちなみに記事中で紹介したテレグラフ紙のマッドワールド連載記事はNewsWeekサイトのヘンリー王子が心の問題を告白 その背景にあるものとはで見ることができます。ただ英語ですけどね、、、
ウィリアム王子とレディーガガのチャット通話
そして、次に報道されたのがウィリアム王子とレディーガガとのビデオチャット動画の報道でした。僕は知らなかったのですがレディーガガはPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていたんですね。彼女はこのことを2016年12月に告白。障害を患った原因は19歳の時のレイプで、今でも戦っているという告白でした。
また、スティッフ・アッパー・リップ・シンドロームと呼ばれる感情を抑圧してしまう症候群も患っていることをカミングアウトし大きな衝撃を世間に与えました。
レディガガがPTSDを告白しようと思った理由は以下の通りだったとのこと。
ウィリアム王子は「あなたのメッセージに感銘を受けました。心の問題を明かすことは、誰にとっても勇気がいるもの。それを告白しようと思ったきっかけと、打ち明けた後の心境の変化を教えていただけますか?」とレディー・ガガに質問。それに対して「PTSDの告白は、とても緊張しました」と応えたレディー・ガガ。でもPTSDへのスティグマを取り払うことにもつながるとポジティブに考えたそう。「悲しい気持ちで目覚めた朝。コンサートやライブに向けて気持ちを高めるのに大変苦労しました。また精神的な病気を患っていることが恥ずかしいと感じたり、どこかおかしいんじゃないの?と思うことも。そういう時は、美しいものを見ては『人生をもっとハッピーに生きなくちゃ!』と気分を変えるようにしているけど、やっぱり朝起きるのが辛かったり、悲観的なことばかり考えてしまう。でもそんな自分を受け入れ、それでいいんだと思うようにしたら、少しラクになりました」と語った。
レイプという悲惨な事件を公開し、様々な人に力を与える女性はとても素晴らしいですね。彼女の回復を祈りつつも、同じような被害が二度と出ないように多くの人がレイプ抑止・防止・撲滅に意識を向けてほしいです。また、PTSDを患ってしまっている人を支えあえる関係を築ける社会を作っていきたいですね。
今回のインタビューにおけるウィリアムの考えは以下のようなものでした。
ウィリアム王子も、勇気あるカミングアウトによって同じ悩みを抱えている人たちがポジティブな気持ちになれると共感し、続けて次のようにコメント。「私がメンタルヘルスについて学んだことのひとつに、会話することの重要性があります。人と会話し、人の判断に惑わされないこと。まずは『メンタルヘルスについて話す』というタブーを破らないと、もっと深刻なダメージを受けてしまう可能性があると感じました」。
ちなみにウィリアム王子は、母ダイアナ元妃が亡くなった後、メンタルヘルス問題に苦しんでいた弟ハリー王子に手を差し伸べたことでも有名。「とにかく誰かに話す」という彼のアドバイスに後押しされたハリー王子は、のちに専門家の治療を受けることを決意したと言われている。
ウィリアム王子の言う通り、酷いダメージを受ける前に専門家の支援を受けることは大事なことだと思います。ただ、世間一般に公開したり、告白すること自体にはデメリットもあります。それについては他の記事にまとめますので、メリットとデメリットを知りながら自分が苦しまないで済むように、苦しみが減るように進んでいけるといいかと思います。
ダイアナ妃の死について兄弟で話し合う
また、ウィリアム王子、ヘンリー王子、キャサリン妃の三人で、今まで母親であるダイアナ妃の死について「話し合ってこなかった」ということなどを話し合う映像が2017年4月21日に公開されました。これも、上記紹介の記事内容と同じで「ツラい思いでから逃げずに、いつか勇気を出して話し合わなければいけない」といった啓蒙をしています。
<外部サイト>日テレNEWS24 母・ダイアナ元妃を兄弟が語る映像公開
<注意>
辛い思い出を必ずしも表にオープンにすることがいいわけではありません。それにより体調が悪くなることもありますので無理は禁物です。このことについては以下の2つの記事で詳しく説明しております。興味がありましたら、読んでみてくださいね☆
<参考記事>
精神障害をオープンにするメリット・デメリット
キャサリン妃の母としての苦悩
さらに、キャサリン妃も母としての苦悩の日々を告白しました。
キャサリン妃が向かったのは「Heads Together」と手を組んでメンタルヘルスの授業をカリキュラムに組んでいる学校「The Global Academy」。そこで、「子育て中に、理解してくれる友人が欲しかった」と話した母親たちに共感し、キャサリン妃も自身がいかに孤独を感じていたかを明かした。
そこで、以下のようなことを述べました。
「子育て中は、時に寂しさを感じますよね。自分が世間から孤立しているように思うこともありました。でもこの孤独感は、自分だけでなく、実に多くのお母さんたちが感じてきたことなんです。そんな時は、助けを求めることが大事だと思います。
(中略)
また、メンタルヘルスについては子どもの頃から触れておくべきだとキャサリン妃は考える。
「年齢に合わせて、様々な方法でメンタルヘルスについて話し合うべきだと思います。幼い子どもでも同じです。言語能力がまだ発達していない年齢であれば、遊びを通して学ぶこともできます。幼い子供は感情を表現する言葉をまだ知らないことが多いので、代わりに行動によってその感情を表します。ですから、感情や問題に取り組む方法を早くから教えるということは、素晴らしいことだと思います」
子育てというのは初めてのことの連発です。それを一人で乗り越えようとすると、どうしても孤独になりがちですよね。日本でも核家族化が進んでいるため母親は孤独になりがちです。ぜひ、この啓もう活動のように多くに人と話し合えるようになればいいなと思います。
精神障害を受け入れる社会
このようなウィリアム王子たちの活動は精神障害というものが身近であることを紹介し、また誰にでも潜んでいる問題だということを投げかけています。また、精神障害だけでなくツラい思いをしている人が多くいることを伝え、孤独に悩まずに様々な人とつながりながら協力して乗り越えてほしいというメッセージが乗っていますね。
メンタルヘルス問題は、19世紀ごろに比べれば認知度も高くなりました。偏見も減り、過ごしやすくなりましたがまだまだ変な知識や誤解を抱いている人もいます。そういう人達に、こういう情報が届けばいいなと感じます。
正しい知識の拡散
こういう啓蒙活動には正しい知識が大事です。そして、著名人たちの協力が必要。有名な人の声でないと埋もれてしまいますからね。そういう点ではロイヤルファミリーが率先して活動しているのは素晴らしいことだと僕は感じます。
こういうニュースを知ったら積極的に拡散していきたいと思ってはいますが、心配なのは正しい情報かどうかということ。中には、ちょっとそれ違うよねというような情報で啓蒙している団体もあり、中身はしっかりと読まないといけないなと思います。
間違ったメンタルヘルス情報を拡散することで、より差別が広がったり、苦しんでいる人が増えては意味がありません。だから、意識的に正しい知識を習得するようなマインドを持ってほしいなと思います。
メリットもあればデメリットもある
こういう活動自体にもメリットやデメリットもあります。
たとえば、
メイルオンラインのコラムニストは、「ロイヤルファミリーたるものが、まるで自分たちを悲劇のヒロインに仕立て上げている。彼らの行為は、エリザベス女王がロイヤルファミリーの権威を守るために65年間にわたって懸命に築き上げてきたストム主義(欲望を厳しく節制して人格の完成と心の平穏を追及した思想)を覆す行為。そんな話をするな」と一蹴りすると、それに賛同する人たちのツイートが殺到。
メイルオンラインのコラムニストは、「ロイヤルファミリーたるものが、まるで自分たちを悲劇のヒロインに仕立て上げている。彼らの行為は、エリザベス女王がロイヤルファミリーの権威を守るために65年間にわたって懸命に築き上げてきたストム主義(欲望を厳しく節制して人格の完成と心の平穏を追及した思想)を覆す行為。そんな話をするな」と一蹴りすると、それに賛同する人たちのツイートが殺到。
というものですね。
王室の方々の本職は公務でもあります。日本でも天皇の公務に関しては色々な意見や考えがありますよね。それと同じようにイギリス王室でもそういう「しきたり」や「文化」があります。そのため、こういう批判や愚痴も多くあるのが事実。
それによって、気分を害してしまったり、変な知識を得てしまった人も少なくありません。何かを発信するときは賛成と否定の意見が必ずあることを知っておきましょう。
そして、自分が何かを主張したり啓発するときは、そういう周りの遠慮のない攻撃的な意見に対する対処法を身につける必要があります。
まとめ:自分のためにオープンにするのは大事なこと
ウィリアム王子はじめとした、この啓もう活動自体は私は良いものだと感じます。色々な意見はありますが、ロイヤルファミリーだって人間です。そういう人でも苦しみや悩みはあり、日々戦いだということを知れたのは大事なことではないでしょうか。
精神疾患やメンタルヘルスは誰にとっても身近であり、あなたに降りかかる可能性が多いにあります。それをしっかりと理解し自分が壊れないように準備しておくことは大事でしょう。
そして、自分がそういう辛い状況に追い込まれた時には信頼できる友人や親族に相談し一緒に解決したり支援してもらったりしましょう。人が克服できるものは多くありますが一人では難しいことが多いです。ちょっとした声掛けでも心が軽くなることがあります。そういう時のために信頼できる関係を築いておきたいですね。
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