うつ病を患ったことがある人たちは全員あいてのきもちがわかると世間一般では思われていることがおおいです。でも、実はそれ誤解なんです。うつ病を患った人であろうと他のうつ病患者の気持ちはわかりません。
さらに、うつ病とひとくくりにしても症状もちがえば考え方も違うことがおおいのです。今回は、そんな一般の人が誤解しがちなうつ病患者の話
うつ病患者同士は理解しあえる部分ばかりとは限らない理由
同じ会社にうつ病を患ったことがある人が複数人いるとひとくくりにされることがよくあります。うつ病を患う社員がおおい会社だったりすると「うちなったことある人いるから大丈夫」なんて変な自信を持ってしまうところもあります。
でも、忘れないでほしいのですがうつ病患者がたくさんでる会社はまず問題があります。さらに、病名がうつ病でも症状がちがうため具体的な対処方法は全然違います。
なんでも同じと考えると大きな弊害が出てくるので注意してください。
うつ病を患った原因が違う
うつ病になるのにはさまざまな理由があります。うつ病の原因は、環境的要因・心理的要因・遺伝的要因の3つです。
なので、基本的に同じ原因でうつ病になったり似たような症状がでている人の気持ちはわかる部分があります。でも、それはあくまでも一部であり全部を理解することはできないのです。
たまに、相手の気持ちが全部わかるという人がいますが、それは勘違いです。あくまでも自分の経験や想像で相手の状態を推し量っているにすぎません。
うつ病に対する向き合い方が違う
また、うつ病に対する考え方も人によって違います。うつ病になったのは他人のせいだとわかったら、積極的に他責をする人もいますし自責をして自分を追い込む人もいます。
うつ病を自分の行動で悪化しないように注意しようとする人もいれば、クスリだけで治そうとする人もいるのが現実です。
どれがいいとは限りません。人それぞれ人生の歩み方は違って当たり前ですから、それはうつ病患者それぞれが決めることなんです。
ですから、他のうつ病患者がどう歩もうとしているかはゆっくり話し合ってみなければわからないものなんです。
うつ病の治療法も症状も違う
さらに、うつ病の治療方はかかった心療内科でも変わってきます。基本的には薬物療法がメインになりますが心理療法を並行して施術する病院もあれば、診察ONLYで対処する病院もあります。
もっと違うのは同じうつ病という診断をうけても出てくる症状は人それぞれ違うというところ。胃痛や頭痛など体から痛みを発する人もいれば、気分が下がってしまうだけの人もいます。
カラダがだるくてどうしようもない人もいれば、食欲が全然ない人もいます。もちろんその逆で動けるひともいれば、食欲が過剰な人もいます。
もっといえばクスリのきき方も人によって違います。そして、副作用の出方も違います。薬物治療の初期は副作用がほぼないクスリを処方されるものです。さらに処方される量も少ない。
それでも副作用が出る人はいます。ひどいと全然飲めない人もいるのです。けっこう驚きですよね。
うつ病を患うとキャパが小さくなる
そして、なによりうつ病になると自分だけのことで精いっぱいになります。他人のことなど気にする余裕はほぼありません。多少元気になっても自分のことで精いっぱいなのはかわりませんから、相手のことを想像することなんてできないのが普通です。
「同じうつ病なんだから」ひとくくりにする弊害
このようにうつ病といっても人によって全然違うものです。治療法も基本は一緒でも医師からのアドバイスは違ったりしまうので注意が必要です。これをしらずに一くくりにすると弊害が出てきてしまいます。その弊害を説明しましょう。
違う人のうつ病治療例を無理やり押し付ける
これはけっこう起こることなのですが、他のうつ病患者で効果のあったものを「むりやり」おしつけることが起こるんです。うつ病は「ココロのカゼ」と称されることも多いためカゼと同じと思っている人もいます。
フツウの風邪であれば熱がでて咳が止まらなくなる症状になりますよね。のどが赤くなって頭がぼーっとします。
そうなったらあなたは病院でクスリをもらって、栄養のあるものを食べて、温かい格好をしてフトンの中でできる限り横になるように努めるでしょう。
このような対処をすればカゼになった人達はほとんど元気になります。そう、同じような治療法で効果がでるのです。
でも、うつ病は違います。ある人は外に出て運動するのが良いという医師からのアドバイスがあったかと思えば、家からは出ずに家で横になるようにと医師からアドバイスされるうつ病患者もいます。
ですから、気晴らしに旅行に行った方がいいよとか、特定の栄養素のものをたくさん食べるようにした方がいいよと進めても症状を悪化させてしまうことが起こる可能性があるのです。
あいつはこうだったのにという偏見が生まれる
そして、次に問題なのは偏見がうまれること。たとえば3か月休んで職場復帰できた人がいる職場では「うつ病=3か月で復帰できるもの」と思い込んでしまうことがあるのです。
そのような環境になると、次に休職した人は3か月で復帰させなければならないという雰囲気になってしまう可能性があります。かりに、三か月で復帰できなかった場合は、「なんで前の人は復帰できたのに、この人は復帰できないの?」という疑念がうまれてしまうのです。
大した疑念ではないと思いがちですが、この多少の環境の変化は患者にとっては大きいものです。
人によっては半年休む人もいれば長い人は1年くらい休む人もいます。治療の進み方は人それぞれと思っていないと人員計画がうまくいかなかったりうつ病患者にいらないプレッシャーをかけて症状を悪化させてしまうことにもなりかねません。
うつ病患者の気持ちをしるのに他のうつ病患者に質問する
そして、私が一番困ったものはこれです。他のうつ病患者の気持ちを代弁してくれと言わんばかりの質問をされることです。
「参考にするからどう思うか教えて」というのであれば全然問題がありません。それならば自分の意見を述べればいいだけですから。
でも、多くの人は「あなたもなったことがあるから、あの人の今の状態わかるでしょ?」という形で質問してきます。はい。これ、間違いです。
ハッキリいってわかりません。その人がいま休養期なのか回復期なのかでも全然変わりますし、回復期を過ぎて復職を目指して動いているところかもしれません。
復職中でも仕事のストレスがどんなものかもわからなければ、その人の状態などはっきりいってわからないのです。
同じうつ病患者でも、今どんな状況かを本人から聞いてみなければわからないということを知ってほしいと思います。
まとめ:うつ病といっても中身は人それぞれ。一般化しすぎるのは問題
このようにうつ病とは人それぞれ全然違うものです。ですから、他のうつ病患者の気持ちを知ったつもりになるのは問題があります。
そして、うつ病患者だから他のうつ病患者をすべてわかるだろうと周りの人たちも思うのは問題があるのです。
ただ、うつ病というものを抽象的にとらえるには一般化が必要です。その時は、うつ病とは大体こんなものなんだというのを把握するようにしてください。
そして、患者を前にしたら一般化を前提にしていても相手の言葉や顔色、動作をよく観察してあげてください。それがうつ病患者が今どんな状況かを知るために一番いい情報源になります。
他人の気持ちは推し量ることしかできないという大事なことを忘れないでほしいと思います。これはもちろん私にも言えることです。
相手がどんな状況かしっかり見てあげるよう心がけましょう。
コメント