うつ病を患い治療に専念するも上手くいかずに止む無く離職。症状は軽いのですぐに就職活動を開始。でも、上手くいかずにどんどん金銭的に苦しくなってくる。そんなあなたが生活を安定できるように援助する国の制度一覧を説明します。
まずチェック!あなたは働ける?
最初に確認したいのは「あなたが働ける状態かどうか」これに至っては自己申告なのでそんなに難しく考える必要はありません。フルタイムで働けるなら文句なしで「私は働けます!」と思って大丈夫です。
パート勤務でもOK
ちょっと心配だなって人も安心してください。今回の「働けるかどうか」のボーダーはパート就業ができるレベルでもOKです。フルタイムの週5勤務は厳しくても週3回の短時間勤務ならOKっていうのでいいんです。
健常者としての就業が難しい人は?
フルタイムだとしてもパートなどの時短勤務にしても健常者として病気を隠して勤務するのは難しいという人は障害者枠の求職活動を検討しましょう。
現在は、障害者雇用制度が充実しているため障害を公にして就職している人たちがいます。よく「オープン就業」とか言います。このように就職すると就業先に自分の状態が正確に伝わるので体調不良や配慮が必要な時に適切な対応をしてもらえる可能性がグンと上がります。障害者枠求人については後日詳細な記事を書く予定です。
また、雇用保険の基本手当を申請する際に「就職困難者」として申請すれば基本手当の支給期間が延長される優遇制度もあります。是非そちらも検討してください。(詳細については後日記事にします)
パートもオープン就職もNGの人へ
フルタイムもパート(時短勤務)もオープン就職(障碍者枠求人)もどれもダメ。今は症状が重すぎて働くことなんてできない。しかも、生活が苦しいのって人は「うつ病で離職。退職後も働けそうにない人がする雇用保険と金銭対策」をご覧下さい。
そちらに働けなくても生活を援助してもらえる制度をご紹介しております。日本は生活を最低限守るセーフティネットが充実しております。生活を立て直すまで制度にお世話になり、元気になったら納税や保険料納付などで恩返ししましょう。
あなたに送る制度はこれだ!
さて、ではいよいよ制度の紹介です。働けるけど再就職ができない人が生活を安定するために活用できる制度は以下となります。
- 雇用保険制度の基本手当
- 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
- 求職者支援資金融資
- 総合支援資金の貸付
では、詳しく説明していきましょう。
注目は雇用保険制度
多くの人がまず検討した方が良い、もしくは、すでにしているのは雇用保険です。離職し離職票を元就業先からもらったらハローワークに行ってまず最初に申請します。申請方法については「うつ病で退職してももらえる!雇用保険の基本手当の受け取り方」をご覧ください。詳しく説明しております。
まずは雇用保険制度を活用できるかが分岐点です。もし活用できなくても大丈夫。他にも申請できる制度は3つもあります。では順番に説明していきましょう。
雇用保険制度が使えないって人へ
ここで紹介するのは3つの制度をおさらいしましょう。
- 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
- 求職者支援資金融資
- 総合支援資金の貸付
ですね。では、それぞれ説明していきます。
職業訓練受講給付金(求職者支援制度)
これは求職者支援制度を利用した方で、かつ、要件を満たす方が受け取れる給付金です。求職者支援制度とは
- 求職者支援制度とは、雇用保険を受給できない求職者の方(※1)に対し、
- (1)無料の職業訓練(求職者支援訓練)を実施し、
- (2)本人収入、世帯収入及び資産要件等、一定の支給要件を満たす場合は、職業訓練の受講を容易にするための給付金(
職業訓練受講給付金)を支給するとともに、
- (3)ハローワークが中心となってきめ細やかな就職支援を実施することにより、安定した「就職」を実現するための制度です。
(※1 雇用保険の適用がなかった方、加入期間が足りず雇用保険の給付を受けられなかった方、雇用保険の受給が終了した方、学卒未就職者や自営廃業者の方 等)- ・求職者支援訓練の認定基準、給付金の支給要件や支給額等は、審議会での議論及び所要の手続きを経て定められています。
雇用保険を受給できない方に対し、ハローワークが無料の職業訓練を支援指示し、積極的に就職支援をする制度です。
このうち、一定の要件を満たす方には、職業訓練を受講している間、「職業訓練受講手当(月額10万円)」と「通所手当(通所経路に応じた所定の金額 ※上限額あり)」の2つの手当が職業訓練受講給付金として支給されます(月ごとに支給申請を行い支給要件を満たす必要があります)。
というものです。簡単に言ってしまえば「雇用保険を受給できなかった人で、かつ、就業を希望していて、支援を受けようとしている人がハローワークに職業訓練受けなさいと指示された」が対象になる制度ですね。
訓練は成長分野や地域の求人ニーズを踏まえて決められており地域によって多少異なります。ですが、大まかに電気系(電気工事士などを目指すなど)、建築・土木系(施工技術や技術の習得など)、情報系(プログラミング習得、Web知識・技術習得など)が占められています。
職業訓練受講給付金をもらえる要件
この給付金をもらうための用件は以下のようになります。
1.本人収入が月8万円以下(※1)
2.世帯全体の収入が月25万円以下(※1、2)
3.世帯全体の金融資産が300万円以下(※2)
4.現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
5.全ての訓練実施日に出席している(※3)
(やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上(※4)の出席率がある)
6.世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない(※2)
7.過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない※1 「収入」とlは、税引前の給与(賞与含)、事業収入、役員報酬、不動産賃貸収入、各種年金、仕送り、養育費その他全般の収入を指します(一部算定対象外の収入もあります)。
「世帯全体の収入」は、事前審査において前年の収入が300万円以下であることを確認します。
※2 「世帯」とは、本人のほか、同居または生計を一にする別居の配偶者、子、父母が該当します。
※3 「出席」とは、訓練実施日に全てのカリキュラムに出席していることをいいます。ただし、やむを得ない理由により訓練に遅刻・欠席・早退した場合で、1実施日における訓練の2分の1以上に相当する部分を受講したものについては、「1/2日出席」として取り扱います。
※4 「8割以上」の出席率とは、支給単位期間ごとに訓練実施日数から欠席した日数と「1/2日出席」した日数を控除して出席日数を算定(端数が生じた場合は切り捨て)し、支給単位期間ごとに訓練実施日数に占める当該出席日数の割合が8割以上であることを指します。
どうでしょうか?要件を満たしていますか?。
職業訓練受講給付金の支給内容
もしこの要件を満たしていると以下の支給を得られます。
職業訓練受講手当:月額10万円
●通所手当 :職業訓練実施機関までの通所経路に応じた所定の額(上限額あり)
●寄宿手当 :月額10,700円
* 「職業訓練受講給付金」は、支給単位期間(原則1か月)ごとに支給します。
「支給単位期間」とは、原則訓練開始日を起算日として1か月毎に区切った個々の期間のことを指します。支給単位期間が一つ終わるごとに、ハローワークが指定した日にハローワークに来所し、「職業訓練受講給付金」の支給申請と職業相談を行います。
*支給単位期間における日数(支給単位期間のうち、「職業訓練受講給付金」の対象となる日数)が28日未満の場合は、支給額を別途算定します。
*「通所手当」は、最も経済的かつ合理的と認められる通常の通所経路・方法による運賃または料金の額となります。
*「寄宿手当」は、訓練を受けるため同居の配偶者などと別居して寄宿する場合でハローワークが必要性を認めた方が対象となります。
月にして約10万円程度給付されるため生活を維持することが出来ますね。
【重要】職業訓練受講給付金の注意点
ただ、こちらをもらう人は訓練を一度でも欠席したりハローワークの就職支援を拒否すると給付金が支給されない等制限があります。
○「求職者支援制度」は、熱心に職業訓練を受け、より安定した就職を目指して求職活動を行う方のための制度です。このため、一度でも訓練を欠席(遅刻・欠課・早退を含む)をしたり(やむを得ない理由を除く)、ハローワークの就職支援(訓練修了後の就職支援を含む)を拒否すると、「職業訓練受講給付金」は支給されません。また、これを繰り返すと、ハローワークから支援指示が取り消され訓練受講の継続ができなくなるほか、訓練期間の初日にさかのぼって給付金の返還命令等が行われることがあります。
○欠席が「やむを得ない理由」による場合でも、支給を受けようとする支給単位期間ごとに8割以上の出席率がなければ、「職業訓練受講給付金」を受給することはできません。
これは風邪を引いたから休んだってのも原則NGです。私の知り合いがこれに通所しましたが、「やむを得ない理由」を証明するのはかなり大変だったとのことです。甘い考えでいるとすぐに給付停止になりますのでご注意ください。
「求職者支援資金融資」について
これは、上記の「求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方」を対象とした貸付制度です。職業訓練受講給付金の他に労働金庫から融資を受けれるんですね。
貸付の上限額は、同居または生計を一にする別居の配偶者等がいる方は月10万円、それ以外の方は月5万円です。融資に当たっては、労働金庫の審査があります。
また、手続きはハローワークが指定する金融機関(労働金庫)にて行います。ですが、貸付であることを忘れてはいけません。利息を含めて返済義務のがるものですのでご注意くださいね。
「総合支援資金」の貸付
これは生活福祉資金貸付制度の中の一つの制度となります。生活福祉資金貸付制度とは低所得者、高齢者、障害者などが、安定した生活を送れるよう、都道府県の社会福祉協議会が資金を貸し付けと必要な相談支援を行うものです。他で借りれない人たちを対象に国がお金を貸しますよっていうセーフティーネットですね。
この中でも、生活に困窮している人に対して、就労支援や家計指導などの継続的な相談支援と合わせて、生活費や一時金的な資金の貸し付けを行うのが総合支援資金という貸付制度になります。
借りれるものは3種類あり、それぞれ
資金の種類 | 資金の目的 | |
総合支援資金 | 生活支援費 | 生活再建までの間に必要な生活費用 |
住宅入居費 | 敷金、礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 | |
一時生活再建費 | 生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費でまかなうことが困難である費用(就職・転職のための技能習得・債務整理をするために必要な費用など) |
となっていますね。ただ、後述しますが貸付要件の中には「現在住居がある、もしくは、住居の確保が確実に見込まれていること」というものがあるため資金の種類の中に住宅入居費があるにも関わらず住まいがないと申請できない貸付制度となります。
というのも、住まいが確定しないと相談する社会福祉協議会やハローワークを決定することが出来ないため担当場所がきまらないんですね。その場合は、上記にある「住居確保給付金」をまず申請し住まいを確保してから総合支援資金貸付の申請をしましょう。
総合支援資金の貸付要件
貸付要件は以下になります。
(1)低所得者世帯(市町村民税非課税程度)で、失業や収入の減少などによって生活に困窮していること
(2)公的な書類などで本人確認が可能であること
(3)現在住居のある人、または、住宅手当の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
(4)社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から、継続的な支援を受けることに同意していること
(5)社会福祉協議会などが貸け付及び支援を行うことにより、自立した生活を営むことが可能となり、償還を見込めること
(6)他の公的給付または公的な貸付けを受けることができず、生活費をまかなうことができないこと
どうでしょうか?貸付要件は満たしそうですか?満たす場合は、申し込みに移りましょう。
総合支援資金の申し込みについて
申し込むには、まずハローワークへ求職の申し込みと職業相談をすることが必要となります。よって、まずはハローワークに行って求職登録をしましょう。この時に、総合支援資金を申し込みたい旨を担当者に話しておくとスムーズに話が進みます。
その後、市区町村の社会福祉協議会の窓口にて手続きの説明と用紙の交付を受けた後、申請書類と以下の書類を準備して一緒に提出してください。
- 必要書類
- 総合支援資金の借入申込書(社会福祉協議会の窓口で交付します)
- 健康保険証または住民票の写し
- 世帯の状況が明らかになる書類
- 連帯保証人の資力が明らかになる書類
- 求職活動などの自立に向けた取り組みについての計画書
- 借入申込者が、他の公的給付制度または公的貸付制度を利用している場合、または申請している場合は、その状況が分かる書類(ハローワークが発行します)
- 借入申込者の個人情報を、総合支援資金の貸し付けに必要な範囲において関係機関に提供することについて記載されている同意書
- 住宅入居費の借り入れを申し込む場合の添付資料
- 入居する住宅の不動産賃貸契約書の写し
- 不動産業者の発行する「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し
- 自治体の発行する「住宅手当支給対象者証明書」
- 総合支援資金の借用書
- その他、社会福祉協議会が必要とする書類
沢山の書類が必要になりますので大変ですが、担当者の方とよく話し合い全てそろえましょう。お金を借りるための必要労力です。少しずつマイペースにそろえて貸付を申請してください。
総合支援資金の貸付可能金額について
総合支援資金の貸付可能金額は以下の表を参照してください。
資金の種類 | 貸付金額 | |
総合支援資金 | 生活支援費 | 月20万円までの貸し付けを最長12か月間 (ただし、単身世帯の場合は月15万円以内) |
住宅入居費 | 40万円まで貸し付け | |
一時生活再建費 | 60万円まで貸し付け |
ただ、注意していただきたいのはあくまでも「貸付」であり「返済」の義務が発生する事を忘れないでください。給付金のように返済不要な制度とは違います。利子については
連帯保証人あり | 無利子 |
連帯保証人なし | 年1.5% |
となっており連帯保証人がいない場合は利子分も返済義務が発生します。生活を立て直し、新たな就業先が見つかれば返せないものではないので各担当者と協力しながら生活を立て直してみましょう。
各制度の注意点
今回紹介した制度はどれも「働けることが前提条件」となっております。働けそうにない人(症状が悪い、動けないという人)は「うつ病で離職。退職後も働けそうにない人がする雇用保険と金銭対策」を参照し申請できる制度を探しましょう。
働けない人が申請できる制度名は
- 住居確保給付金※
- 臨時特例つなぎ資金※
- 健康保険の傷病手当金
- 障害年金※
- 生活保護
※がついている制度は「働ける人でももらえる可能性がある」制度になりますので一度確認してみてください。
自分の状態を把握し、各制度が使えるか検討しましょう。
給付と貸付・融資の違いを間違えない
特に注意してほしいのは「給付」と「貸付、もしくは、融資」の違いをしっかりと押さえておくこと。給付の制度は原則返金する必要はありません。ですが、「貸付、もしくは、融資」の場合は返済の義務が発生します。しかも、利子も発生する可能性があります。
生活が安定し就業できれば返せるものでもありますが、「借りているお金」だということを忘れないようにしないと後で痛い目を見ます。
民間の融資制度も視野に入れる
どの制度も「民間などの融資期間からお金が借りれない人」を対象として制度となります。せっかく窓口に問い合わせても「まず民間の融資機関に相談をしてください」と言われる可能性があります。
その場合は、まず民間の融資機関にて相談しましょう。なんてことだって思うかもしれませんが、給付や貸付制度の予算は有限です。民間で借りれる可能性がある人はやはりそちらを勧められてしまいます。
そんな時に憤ったり、悲観したりせず貸してくれる民間の融資期間を探しましょう。探しても見つからなかったら、また役所の窓口に相談しに行けばいいのです。「探したけど借りれる場所はなかった」と伝えれば話が前に進むかもしれません。
制度は一時的な救済です
この話は話す必要のないかもしれませんが念のため。各制度の要件を満たし、晴れて給付や貸付・融資をもらえたとしてもそれは有限だということを忘れてはいけません。
そのお金で生活を安定させ、就業できるよう邁進しましょう。就業できなければ、いつか援助は切れてしまいます。制度の申請が通ったと言って緊張の糸を切ってしまっては危ない橋を渡ることになります。
制度の使用は目的地までの途中経過です。辛い時に休むことは必要でも休みすぎないように注意してくださいね。
まとめ:自分に合った制度を活用し、生活を整え就業しよう
生活が苦しくなると人の思考は狭まるのが一般的です。思考が狭まった状態では能力を十分に発揮できなかったり、必要な行動に移れなかったりして再就職を妨げることがあります。
それを防止するためにも、ここで紹介した制度を利用できないか是非検討してみてください。日本はセーフティネットが発達しております。色々な制度があるのでしっかり調べましょう。
ただ、不正受給を防止するために審査はかなり厳しい物になります。疑われているような気になって嫌かもしれませんが我慢するしかありません。また、効率よく必要な人へお金を届けるために制度の内容はかなりややこしいです。
一見、いじわるされている様にも感じてしまいますが、必要なルールでもあることを忘れないでください。申請するのは大変です。しかし、生活を安定させるためにはくじける訳には行きません。
少しずつ前に進めば道が開けます。あきらめずに取り組んでみてください。
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