抗うつ薬の歴史を知っていますか?実は偶然の産物から生まれたものなんです!!

豆知識
スポンサーリンク

うつ病治療のベースとなる薬物療法。この治療法で主役となるのが「抗うつ薬」です。

【保存版】うつ病治療に使われる薬物はこれだ!」で、抗うつ薬をグループ分けして紹介しましたね。ただ、抗うつ薬の歴史については説明しておりませんでした。

私はこの歴史については、知っておいた方がいいと考えております。なぜなら、抗うつ薬の歴史はうつ病の原因研究の歴史でもあるからです。抗うつ薬がどうやって生まれ、どう進化したのか。これを知ることでうつ病に対する知識もグッと深まります。ですので、是非読んでみてくださいね。

抗うつ薬の種類

さて、歴史を知る前に抗うつ薬のグループをおさらいしておきましょう。

  • 三環系抗うつ薬
  • 四環系抗うつ薬
  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
  • SNRI(選択的セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
  • NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

今、日本で販売されているのは上記5グループの抗うつ薬となります。上にいくほど歴史が古く、下にいくほど新しいものです。では、これら抗うつ薬がどのように進化していったのかをご紹介しましょう。

抗うつ薬の歴史

抗うつ薬の歴史を紐解くキーワードは「偶然」です。端的に言えば、偶然の連続から抗うつ薬は見つかったんですね。ただ、偶然って別にめずらしいことではありません。世界の大発明や大発見も最初は偶然から始めることが多いです。

歴史的天才の一人であるアイザック・ニュートンが万有引力を発見したのもリンゴの木を偶然見ていたからでした。リンゴの木の実が落ちるのをみて、りんごが落ちるのではなく、リンゴが地球から引っ張られているのではないか?と仮説を立てれたのも、偶然リンゴが落ちる瞬間を見つけたからです。

万有引力がみつからなければ宇宙という概念は今と違いましたし、何より地球に重力があるとわかりませんでした。

ちょっと抗うつ薬の話からずれましたが、「偶然」から大きな発見があることは特別なことではないことだけ覚えておいて欲しいと思います。

抗精神病薬は偶然見つかった

薬物療法の初期とされる抗精神病薬の発見は、実は偶然の産物でした。1950年。当初、抗ヒスタミン薬として開発されていた「クロルプロマジン」という物質が始まりとされています。

クロルプロマジンは鎮痛作用が強烈な反面、本来の目的の抗ヒスタミン効果は薄く、あまりいい評価を受けていない薬でした。ですが、その後、他の麻酔と併用した結果、患者に精神症状の変化がみられたんです。その後、精神病患者に投与した結果、効果を確認。そして、統合失調症の治療に使われるようになったとされています。

<参考文献>

<補足1>

抗ヒスタミン薬とはアレルギー反応を抑えたり酔い止めに使われる薬です。また、総合感冒薬とよばれる頭痛・発熱・のどの痛み・筋肉痛・咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまりを緩和する薬も含まれます。

<補足2>

統合失調症とは、精神障害の一つです。詳しくは別記事に詳しく説明いたします。

最初の抗うつ薬も偶然発見された

そして、抗うつ薬も偶然に発見されました。年代も同じく1950年代。この発見には2つの事例があったとされています。それは

  • 結核の治療薬として生まれた
    • イプロニアジド
    • イソニアジド
  • 抗ヒスタミン薬として開発された
    • イミプラミン

です。詳しく説明していきましょう。

結核の治療薬

まずは

  • イプロニアジド
  • イソニアジド

ですね。これは、モノアミン酸化酵素阻害剤(以下、MAO阻害剤)とよばれ結核の治療に使われていました。そんなMAO阻害剤ですが、投与した患者に気分の効用がみられたんですね。

イプロニアジドとイソニアジドは、抗結核作用を期待して結核患者 へ投与した際に、偶然抗うつ効果が発見された。その際、「結核患者が病院の廊下で楽しそうにダンスしている」と 表現された。

抗うつ剤の台頭-1950年代~70年代の日本における精神医学言説-松枝 亜希子
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 「Core Ethics」Vol.5 2009年

ダンスしているなんて、かなり陽気な感じがしますよね。

この精神変化から、精神病に使えないかと考えられました。その後、統合失調症をはじめとする精神病患者に投与された結果、特にうつ病に効果があることが分ったんです。

これが、一つ目の抗うつ薬の誕生とされています。

抗ヒスタミン剤として開発した薬

もう一つの抗うつ薬は、「イミプラミン」という薬剤です。これは、抗ヒスタミン薬として開発された薬で、副作用の確認をしている時に精神病にも使えるのではないかと考えられたんですね。

クロルプロマジン発見後、薬学者の中では第二のクロルプロマジンを見つけようと関心が高まっていたんです。そんな中、「イミプラミン」の高い鎮痛作用を持っていてクロルプロマジンと似ている特徴があったんですね。そのため、クロルプロマジンのように精神病治療に使えるのではないかと考えた博士がいたんですね。

ただ、統合失調症患者に投与した結果、期待したほどの効力があらわれなかったんです。ですが、うつ病には明らかな抗うつ作用が発見されたんです。

こうして、もう一つの抗うつ薬が発見されたんですね。そして、これが最初の三環系抗うつ薬でした。

うつ病の原因仮説は逆説的だった

ただ、このとき

  • MAO阻害剤
    イプロニアジド
    イソニアジド
  • 三環系抗うつ薬
    イミプラミン

も、なぜうつ病に効くのかがわかっていませんでした。そもそもうつ病の原因もわかっていませんでしたからね。

そのため、薬の作用機序を研究することでうつ病の状態を紐解けるんではないか?と考えたんです。

そしてわかったのが、シナプス間隙に放出されたモノアミンの前シナプスへの再取り込みを阻害する作用があることが明らかにされたんですね。(ちょっとわかりずらいですよね、、、詳しくは補足3を参照してくださいね☆>

<補足1>

作用機序とは、

薬理学における作用機序(さようきじょ、英: mechanism of action, mode of action, MOA)あるいは作用機構とは、薬剤がその薬理学的効果を発揮するための特異的な生化学的相互作用を意味する。作用機序では大抵、薬剤が結合する酵素あるいは受容体といった特定の分子標的について言及される。

ウィキペディア 作用機序 のページ

という意味です。簡単に言うと「その薬を飲むことで起こること」を作用機序といい、何で効力が出るのかを明確にしたい時に調べるんですね。

<補足2>

モノアミンとはノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質(脳内ホルモン)の総称です。詳細に知りたい方は脳科学辞典がとてもいいですよ☆

モノアミンとはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称である。いずれの神経伝達物質も一つのアミノ基が2つの炭素鎖により芳香環につながる化学構造を有する。霊長類、齧歯類ではモノアミン含有神経細胞の細胞体は脳幹部にあり、ほぼ脳全体に神経軸索を投射するため、モノアミン神経系(モノアミン系)は広汎投射神経系としての特徴を有する。

脳科学辞典 モノアミンのページ

<補足3>

脳内のモノアミンは脳細胞(シナプス)の間でやりとりされ情報伝達をしています。ですが、中には伝達がうまくいかずに受け手にモノアミンが届かないこともあります。

そうなると、放出した方の送り側シナプスがモノアミンを再取り込みしてしまうんですね。受け手側のシナプスが吸収してくれる量が減ってしまえば、送り側がいくらモノアミンを送り届けてモノアミンは伝達されません。結果、考えたり感じたりするのができなくなってくるのです。

「シナプス間隙に放出されたモノアミンの前シナプスへの再取り込みを阻害する作用」というのは、この再取り込みをさせないようにすることを指します。一回、受け側に吸収されなくても再取り込みせず、シナプスの間に残す。そして、もう一度吸収される機会をつくり伝達成功を促す効果があるとされています。

服用するとうつ病になる薬

また、服用することでうつ状態を引き起こす「レセルピン」という薬剤の作用機序も重要な手がかりとなりました。

レセルピンは、高血圧症の改善にもちいられる薬ですが、服用することで抑うつ状態になる副作用がありました。その原因は、作用機序であるセロトニンの取り込み妨害ではないかと言われております。

受け手側のシナプスにセロトニンを伝達させないのです。結果、受け手側シナプスるのセロトニンが枯渇してしまうんですね。

モノアミン仮説

これらのことからモノアミン仮説がうまれました。詳しく分けると

  • セロトニン仮設
  • ノルアドレナリン仮説
  • ドーパミン仮設

とありますが、どれもモノアミン(神経伝達物質)がシナプスにおいて伝達できなくなると精神障害を引き起こすというものです。

特に、うつ病に関してはセロトニンとノルアドレナリンが関係しているとされ、これらの伝達がうまくいくようにする薬が抗うつ薬として使えるとしたんですね。

ちょっと驚きですが、うつ病の原因は薬の作用機序から逆説的に導かれていたんですね。今ではこのモノアミン仮説が有力とされており、多くの場所で使われています。

抗うつ薬の進化の過程

偶然的に見つかった抗うつ薬。その作用機序(効力があわられる理由)を調べることによりモノアミン仮説がうまれました。そして、抗うつ薬の進化もモノアミン仮説と共に進んでいます。では、その進化の過程を見ていきましょう。

始まりの三環系抗うつ薬

抗うつ薬として最初に生まれた「三環系抗うつ薬」。輪っかが3つあることから三環系といわれています。歴史は古いですが、今でも使われている抗うつ薬です。なぜなら

  • 安価である
  • 効果がよい

というメリットがあるからです。ただ、副作用が強く扱いが難しいのが難点なんですね。ですから、今では入院患者にしか使われない特徴があります。

特に問題視されたのが抗コリン作用というもの。抗コリン作用とは

・口渇
・便秘
・悪心
・排尿障害
・眠気
・顔面紅潮
・立ちくらみ
・目眩い
・かすみ目
・吐き気
・食欲不振
・胃部不快感
・動悸(心悸亢進)
・不整脈

引用元:ウィキペディア 抗コリン作用のページ

という不快症状を指します。この症状が強く出るため、抑うつ状態を緩和できても、違う苦しみがうまれてしまうことが多かったんですね。

副作用を抑えた四環系抗うつ薬の誕生

そこで、問題の抗コリン作用を軽減させるために開発されたのが四環系抗うつ薬です。これは、三環系と同じ作用機序の薬です。4つの輪っかの科学構成を持つ特徴から「四環系抗うつ薬」となずけられました。

抗コリン作用とは、脳神経伝達物質であるアセチルコリンが無効化されることで起きます。四環系抗うつ薬はこのアセチルコリン無効化作用を小さくした形で進化したものなんですね。とはいうものの、副作用ゼロとは言えない状態でした。

ただ、効果の発言までにかかる時間が他の抗うつ薬に比べ短い特徴があります。比べると以下のような形です。

  • 四環系抗うつ薬・・・・・効き初めまで4日前後
  • 他の抗うつ薬たち・・・・効き始めまで1~2週間かかる

ですから、緊急入院した患者などには使われることが多いです。

抗コリン作用が起きないSSRIの誕生

そんな中、抗うつ薬の中で革命が起きます。それは、モノアミンの中でセロトニンにのみ働きかけることのできる抗うつ薬が生まれたことです。これはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)とよばれました。名前の由来は英名の単語の頭文字をとった略称です。

SSRIはセロトニンにだけ作用するため抗コリン作用がほぼおこらない特徴があるんですね。もちろんアセチルコリン以外のモノアミンにも作用しないためモノアミン関係の副作用はほぼないといえるものでした。

また、三環系・四環系抗うつ薬に比べセロトニンに作用する力が強いという特徴がありました。さらに、半減期(薬の効きがなくなるまでの期間)が長いため一日1錠の服用ですむというメリットがありました。

それにより、発売からすぐに抗うつ薬シェアのトップに立ったのでした。

ただ、万能ではなく違う副作用があります。それは

  • セロトニン症候群
  • 賦活症候群
  • SSRI離脱症候群

などです。これらについては違う記事で詳しく説明していこうと思います。

プラスαで進化したSNRI

そして、SSRIより効力がある抗うつ薬があらわれました。それがSNRI(選択的セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤)と呼ばれるものです。この名前の由来も英読みの頭文字です。

これは、名前の通りノルアドレナリンにも作用する抗うつ薬になります。モノアミン仮説にそって開発されたSNRIはセロトニンだけではなく、ノルアドレナリンにも効果的に作用し抑うつ状態を緩和させてくれるんですね。

ノルアドレナリンは興奮に関係する神経伝達物質です。ですから、意欲の低下ややる気の減退にも効果があるとされています。今ではSSRIと一緒にうつ病に関する薬物治療の主役になっています。

ただ、これも万能薬というわけではありません。SSRIと同じ副作用もありますし、ノルアドレナリンに作用するため不眠などの副作用が出る人もいます。

違う発想から生まれたNaSSA

また、SSRIとSNRIとは違う発想から生まれた抗うつ薬がNaSSAとよばれる抗うつ薬です。

SSRIとSNRIは再取り込み・分解を防止することでシナプス間にあるモノアミンの量を増やすようにしています。一方、NaSSAは分泌量自体を増やすことによりモノアミンの量を増やす薬になります。

このNaSSAは三環系・四環系抗うつ薬の進化形と言われており、医師によっては強い抗うつ効果があるとされているものです。ただ、副作用も強く出る特徴があります。特に吐き気は避けられないと言われているものですね。

海外で発売されている抗うつ薬

このほかにも海外ではモノアミン仮説を元に新しい抗うつ薬が作られています。それが

  • NDRI(ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬)
  • SSRE(選択的セロトニン再取り込み促進薬)

です。どちらも、日本国内においては未承認です。

NDRIはたくさん飲むことで発作が起きる作用があることから、最大推奨量が決められているお薬です。おそらくですがODなどによる対策のために日本では未認証なんだと思います。ただ、NDRIの面白いところは禁煙補助剤としての効果があること。

禁煙による離脱症状や気分の落ち込みを防ぐ効果があるとされ、アメリカでは禁煙治療や依存症治療での第一選択役になっているそうです。もちろん、禁煙補助薬としても日本では未認証です。

SSREはSSRIとは逆の効果によって抑うつ状態を緩和する薬と言われています。セロトニンの再取り込みを促進する薬でなぜ抑うつ状態が緩和されるかは、まだ勉強不足で私にはわかっておりません。

強制的に足りない状態にして分泌量を増やすよう促すなどの情報もありますが、確証が得られないため本記事では宿題とさせていただきます。

うつ病の原因は仮説止まり

このように抗うつ薬の歴史は偶然から始まり、モノアミン仮説と共に進んでいるんですね。ただ、脳内のモノアミン量を測定する技術がないために、うつ病の原因はまだ仮説で止まっています。なにより抗うつ薬を服薬することで100%治療できるわけではないからです。

また、抗うつ薬に関する反証があることも影響しているといえますね。たとえば、プラセボ(偽薬)研究の権威といわれる心理学者アービング・カーシュなどの主張によれば、偽薬と抗うつ薬では効力の差が25%程度しかないという論文を提出しています。

これは簡単にいうと100人に抗うつ薬だと嘘を言ってプラセボ(偽薬)を渡したとしても寛解するのが75人もいるといっている内容になります。

これにより、抗うつ薬を取り巻く議論は過熱し、今でも様々な研究の元、議論が進んでいる状態です。もちろん抗うつ薬を肯定する論文もあり、まだまだ決着はつきそうにありません。

日本での抗うつ薬への対応

もちろん日本国内でも議論が進んでいます。

国の要請

今の日本のうつ病治療では

日本うつ病学会の2012年の大うつ病障害の治療ガイドラインでは、軽症うつ病の場合、安易な薬物療法は避けるべきであり、中等度から重症のうつ病の場合、1種類の抗うつ薬の使用を基本とし、十分な量の抗うつ薬を十分な期間に渡って投与すべきであるとされる。寛解維持期には十分な継続・維持療法を行い、抗うつ薬の投与の終結を急ぐべきではないとされる。

引用元:ウィキペディア 抗うつ薬ページ

と言われていて、症状によって薬物治療は選ぶべきだとされています。これは、

  • 軽症には薬物療法は効果があまりない。
  • 中傷度・重症度のうつ病患者には抗うつ薬が十分に効果がある

といっているんですね。

また、安易な投薬や無意味な処方をさせないためにも

2013年、日本の厚生労働省は、大うつ病性障害に対し、18歳未満に投与しても効果を確認できなかったとして、添付文書を改訂し医師に慎重な投与を求めるよう日本製薬団体連合会に要請した。対象は「レクサプロ」「ジェイゾロフト」「ルボックス」「デプロメール」、他はSNRIが2製品、NaSSAが2製品の計8製品である

引用元:ウィキペディア SSRIのページ

という要請を国が出している状態です。ですから、安易に薬を処方する病院は少なくなりました。病院にいったのに「薬の処方はない」といった診断が行われる理由はここにあるんですね。

結果、

  • 病院に行ったのに薬もない
  • 医師にアドバイスされただけ
  • 病院に行っても何も変わらない

という患者が増えてきている訳です。こういう場合は、心理療法が効果がありますので心理療法を実施している病院を探すのが得策ですね。

「薬を処方されない=軽症=自分は甘えている」って考えてしまう人もいますが、そういうわけではありません。自分が苦しんで耐えられない状態であれば、それは紛れもなく苦しいのです。助けを求めてもいいと思います。

そして、専門家の知識を借りながら

  • 辛さの緩和の仕方を勉強
  • 苦しさとの向き合い方を学び
  • 失敗と成功を繰り返して成長
  • ツラい症状を克服する

という道順で豊かな人生を歩むことが重要です。「甘えている=我慢=耐えろ」っていうのは、後ろ向きな理由でやると何もいいことがありません。

時に耐えなければいけないこともありますが、それは前向きな動機でやるものです。そうでなければ、ただただ調子が悪くなってしまいますよ。

うつ病関係の学会の対応

そして、学会も積極的に行動をおこしており、2009年6月16日に「抗うつ薬の適切な使い方について-うつ病患者様およびご家族へのメッセージ-」というものを日本うつ病学会が発表しています。一部を抜粋すると

新規抗うつ薬の使用によって攻撃性や衝動性や自傷行為が増す例があることから、2009 年 5 月に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン/ノルアドレナリン再 取り込み阻害薬(SNRI)といった新規抗うつ薬の使用上の注意に関する改訂が行われたこ とはご存知のことと思います。 日本うつ病学会は、この問題を検討するために「抗うつ薬の適正使用に関する委員会」 を立ち上げ、詳細な検討を加え、今後正式な「適正使用のための提言」を作成すべく準備 を進めておりますが、多少時間を要することから、現段階で分かる情報をもとに学会とし ての見解を皆様にお伝えしようと思います。

(中略)

もともと薬にはプラス 面(ベネフィット=効果)とマイナス面(リスク=副作用)があり、これらを秤にかけて プラス面がマイナス面を上回るときに薬として使うわけです。新規抗うつ薬についても同 じことが言えますので、細心の注意を払いながら、その効果を最大限得られるように使用 することが大切です。

(中略)

皆様方 も今回の報道に過剰に不安になることなく、治療にあたっての主治医からの説明をお聞き になった上で十分に意見を交換し、必要に応じて対策を講じていただくことにより、こう した問題は軽減できるものと考えられますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

引用元:抗うつ薬の適切な使い方について 日本うつ病学会

と書いております。誤解を恐れず要約すれば

「副作用があるものだが、それを考慮しつつ正しく服薬すればメリットもある。医師と相談し不安をなくしながら、治療を進めてくださいね。」

ということです。

<補足1>

日本うつ病学会の発表内容を全文読みたい方は以下のリンクからPDFをご参照ください。
抗うつ薬の適切な使い方について ―うつ病患者様およびご家族へのメッセージ―

原因がわからなくても治せる

このようにうつ病は原因が明確にわかっていない状態です。ですが、治せない病でもないといえます。多くの人たちがうつ病を患いました。でも、多くの人たちが復職したり社会復帰したのも事実です。

正しく抗うつ薬を服用し、必要に応じて心理療法を受けることで社会復帰をすることは可能なんですね。

もちろん、まだまだ苦しんでいる人たちはいます。慢性化して長いこと苦しんでいる方もいらっしゃいます。こういう場合は、薬物療法だけの治療法では寛解しないことが多いと言われています。

あなたにあった心理療法を実施することが重要になるでしょう。特に、昨今は認知行動療法の効果が実証されておりうつ病に良くきくと言われています。

自分自身で行える治療法でもありますので、ぜひ習得して欲しい心理技法です。

まとめ:うつ病研究は続いている。必ず究明される日がくる!!

うつ病治療はどんどん変わっていっております。メリットを強くしてデメリットをなくすように動いているんですね。また、抗うつ薬も徐々に進化しています。副作用がゼロという薬はないですが、症状に合わせて処方できるため狙った効果を得られやすいです。

あなたに起きている不快な症状を医師に申告し、適切な薬を処方してもらいましょう。そうやって行った薬物療法は必ずいい効果があらわれます。不安な部分がでたら、医師と相談しましょう。そうすることで信頼関係も高まり治療効果も上がっていきます。

そして、症状が軽くなって来たら心理療法を学びましょう。特に認知行動療法がおススメです。それを使いながら、自分の症状と向き合う練習をしましょうね。そうすることで苦しさやツラさから解放されていきますから。

そして、いつの日かうつ病の原因が解明される日が必ずきます。そうなれば、最短で治療することが可能になるでしょうね。こうなれば、私たちのように苦しむ人は激減します。

そうなる日が一日でも早く訪れるよう祈るばかりです。

タイトルとURLをコピーしました