意欲が下がる。元気がでない。やる気がでない。それは廃用症候群かもしれません。

豆知識
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こんな症状にあなたは悩んでいませんか?

  • 一杯休んでいるのに疲れが取れない。
  • 休養をとっても意欲が戻らない
  • 何もする気になれず一日中寝ている

そんな症状に悩まされているあなたは「廃用症候群」になっているかもしれません。普段聴き慣れない「廃用症候群」という言葉。その意味と原因を説明していこうと思います。また、改善方法と対処法、注意点もまとめてお届けしていきますね。

廃用症候群とは

「廃用症候群」とは、過剰に安静にし活動量が著しく低下した状態が長期的に継続することで、2次的に起こる身体の機能低下のことを言います。

簡単に言うと「休みすぎて身体が衰えてしまう」状態のことをいうのです。

こう聞くと「じゃぁ身体を鍛え直せばいいのか」と思うかもしれませんが、そう簡単でもありません。なぜなら、廃用症候群が進んでしまっていると

  • 意欲の低下
  • やる気の喪失
  • 抑うつ状態

が現れることがあるからです。

こうなってしまうと、活動量を増やすことができず廃用症候群を悪化させてしまいます。そうして、さらに廃用症候群が進行するという悪循環に陥るため、なかなか抜け出すことができません。

うつ病などのメンタルヘルスを患っている場合、安静状態が長く続くことが多いです。私の場合も、療養に入って1か月~2か月くらいはほとんど寝たきりの状態でした。ある程度回復してきても一日フルで動けるようになるまでには時間がかかるため、安静状態に近い日が多かったです。

あなたも、あまり動けていないのではないでしょうか?

療養期間が1年とか2年経っているなど、長期的な療養が続いている場合は廃用症候群の症状が強く出ている可能性があります。

<追記>

この廃用症候群という専門用語は介護業界でよく聞く言葉です。高齢者などが加齢による身体能力低下により活動量が減ってしまったり、ケガによる安静が元で全身の機能低下が進んでしまうことで発症するケースが多いからです。

高齢者が廃用症候群にならないように配慮するために介護老人ホームなどでは介護福祉士などが意識的に高齢者に活動量を増やしたり、日々の刺激を増やす仕組みを取り入れています。

介護職がスキルアップの際に受講する「実務者研修(旧ヘルパー1級相当)」でも学ぶものです。以下に引用してご紹介しておきます。

長期間の臥床や活動の低下に伴って二次的に生じる機能低下を廃用症候群といいます。具体的な症状としては、全身の筋力の低下(筋委縮)や関節可動域の減少(関節拘縮)のほか、呼吸筋力が低下して、換気量が減少したり、心筋にも筋力低下が及ぶために、心拍出量が減少します。そのほか、起立性低血圧を生じやすくなり、起きあがったり、立ち上がったりした直後にふらつく場合もあり注意が必要です。

精神面でも、刺激が減少することにより意欲が低下したり、抑うつ状態を招いたりします。

これらの症状は離床をさまたげる原因となり、さらに機能低下をきたすといった悪循環になるおそれがあります。

介護福祉士実務者研修テキスト4巻p.388

運動機能の低下による疲れやすさ、痛み、ふらつきなどは、さらに運動をおっくうにさせてしまい、それによって生活が不活発になると、さらに運動機能が低下してしまい、廃用症候群が生じやすくなります。生活不活発をきっかけにした「もうできない」というあきらめは、生活全体への意欲低下の原因の一つだと考えられるため、運動機能の維持・向上とともに、意欲に対するはたらきかけが大変重要な役割を持っています。

介護福祉士実務者研修テキスト4巻p.5

廃用症候群の症状

では、廃用症候群の症状について説明していきましょう。主な症状の種類は以下の通りです。()内の言葉は専門用語ですので、気になる方は一緒に覚えておきましょう。

  • 精神的に落ち込みやすくなる(抑うつ状態)
  • 筋肉が衰え、力が出にくくなる。長時間経っていられなくなったり、酷い場合は座っているのもツラくなる(筋委縮)
  • 身体が固くなり、関節の可動域が狭くなる。(関節拘縮)
  • ちょっとしたことで骨折するなど骨がもろくなる(骨萎縮)
  • すぐに息切れをしたり、動悸などがして胸が苦しくなったりドキドキしたりするようになる(心機能低下)
  • 立ち上がる際にふらついたり、めまいがする(起立性低血圧)
  • 食事中にむせこむことが多くなる(誤嚥)
  • 高齢者になると唾液や食べ物が誤って肺に入り、肺炎を起こす(誤嚥性肺炎)
  • 血管が詰まりやすくなる(血栓塞栓症)
  • 混乱した状態になり言葉づかいや行動がおかしくなる。軽度の意識混濁が起きる(せん妄)
  • 今がいつであり、この場所がどこかが把握できなくなる(見当識障害)
  • 手足や身体のしびれが起きる(圧迫性末梢神経障害)
  • 喉の奥が痛くなったり、胃の中のものが逆流してくることが多くなる(逆流性食道炎)
  • 免疫力が落ちるため病気になりやすくなる

若い人でも活動量が減り安静状態が長く続くことで上記のような症状が出てきやすいと言われています。また、年齢が高くなるにつれ身体機能の衰えるスピード早くなるため、廃用症候群には注意が必要です。

うつ病などのメンタルヘルスを患っている場合は、「抑うつ状態」である場合が多いです。この症状がある上に廃用症候群になると気持ちの沈み込みは激しくなるためツラい思いをします。

私も療養が長引いた人間です。精神科医に廃用症候群だと診断されたわけではありませんが、今思い返すと廃用症候群の症状も相まってツラい思いを沢山してきたように感じます。

何より、元気になった今でも一日寝て過ごしたりデスクワーク中心となり活動量が減ってくると廃用症候群のような症状が出てくることがあります。ですから元気な人でも注意してくださいね。

<追記>

私は離職経験があり、働いていない時期があります。この時期は通勤や労働がないため活動量や精神的刺激が著しく低下しました。転職活動などでデスク作業などはやっていましたが3か月ほど運動という運動をしていなかった形です。

結果、どうなったかというと以下のような症状が出てきました。

  • 何をするのも億劫になる
  • ちょっと動くと疲れる
  • 疲労が取れにくい
  • 食欲がでなくなる
  • 異常に眠たい時間が増える(でも、ぐっすり寝れない)
  • 寝つきが悪く中途覚醒や早朝覚醒が起きる
  • 人混みに行くと動悸がする
  • 一日動くと息切れと疲労感が酷く、次の日半日寝て過ごす
  • 感情のコントロールが難しくなる(イライラしやすくなる、落ち込みやすくなる)
  • 判断力が鈍る(何かをやるにしろ、購入するにしろ迷いまくって決められなくなる)
  • 集中力が低下する(多分体力が低下して集中を維持できていないのだと思う)
  • 新しい情報が頭に入ってこないため、覚える作業が難しくなる

ちなみに、うつ病などのメンタルヘルス疾患は治っている時です。再発したかと思って焦ったことを今でも覚えております。この時は廃用症候群という言葉も知らなかったので「体を動かさないと悪影響がたくさん出るんだ」と身をもって学んだだけになりましたが、今思うと廃用症候群が忍び寄ってきた状態かと思います。

廃用症候群の原因

そんな怖い廃用症候群の原因は「身体機能の低下」によるものです。

人の身体というのは20代をピークに徐々に衰えていきます。そのため、何かしらの刺激を与えたりトレーニングをしないと徐々に衰えていくのです。

また、人の身体は使わない部分を退化させ効率化するように作られています。ですから、安静状態のように何も使わない状態が続くと身体のほとんどの機能が不要なものだと判断されてしまいます。結果、身体はどんどん機能を低下させていってしまうのです。

絶対安静状態と言われる「筋肉の伸び縮みを全く行わない」状態でいたとすると、1週間で全筋量の1割程度がなくなってしまうと言われているほど機能低下のスピードは速いことを忘れないでおきましょう。

「廃用症候群」の改善方法

廃用症候群の改善方法は「活動量を増やす」というものしかありません。日々の運動量を増やしたり、本を読んだり考え事をすることで脳に刺激を与えていくのです。

昨日より少し負荷をあげていくのです。ちょっとした変化でかまいません。今できることを少しずつやりましょう。

むしろ大きな変化起こそうとすると自信の喪失や意欲の減退を起こしてしまい逆効果です。ちょっと近場まで散歩しようと思ってやってみたら、思ったより身体の衰えが酷くて気持ちが落ち込み、やる気がなくなってしまい引きこもってしまう場合もあります。

また、ランニングなど足に負荷が多くかかる運動をいきなりはじめ、足首や膝を痛めてしまい活動量が余計に下がるケースもあります。無理してケガをしてしまい、さらに安静にしなければいけなくなるのは本末転倒ですから無茶だけはしないようにしましょう。

こうやって徐々に自分の能力を鍛え、元に戻していくのが一般的な改善方法となります。そのため、簡単に元の状態まで改善することは難しいです。時間もかかりますし、年齢を重ねていくと身体機能の向上は緩やかにしか進みません。

ですから、高齢者の廃用症候群対策は「予防」がメインになります。いかに身体機能を衰えさせないかが重要となるんですね。方法は以下の通りです。

  • 安静状態を極力短くするためにケガが良くなったら動くように声掛けする
  • 他人とコミュニケーションをとるようにさせる。(精神活動の活発化による刺激を増やすため)
  • 療養中でも動かせる部分は動かすように心がける
  • 新しい取り組みを促してみる

ただ、うつ病患者をはじめメンタルヘルスを患っている人は、ちょっと対処法が変わってきます。それについては、次の章で話していきましょう。

うつ病患者が気を付けてほしいこと

廃用症候群の改善方法で話しましたが、この症状を改善するには「活動量を増やすこと」が大事になります。ただ、この記事を読んでくれたメンタル疾患を患っている読者の方は「そんなの無理だ」と思われたのが本音だと思います。

なぜなら、そんな気力はないからです。

これは私も経験があるのでとってもよく分かります。「頑張りたいけど頑張れない状況。だから、安静にしている。」それなのに「活動量を増やせ」と言われても、どうしていいかわかりませんよね。

ですから、いきなり活動量を増やそうとすることはやめましょう。無理に頑張っても1日や1週間程度で寝込むのが関の山です。特にあなたのように頑張り屋な人が何かを始めるとストイックになってしまうので危ないです。

じゃぁどうすればいいのか?

休養開始から1か月~2か月くらいの人なら、まずは身体を休ませることだけを考えましょう。今まであなたは身体を酷使しまくってきました。もう、身体はボロボロなのです。ですから、ゆっくり休むことが必要です。その状態で廃用症候群予防として何かを始めても逆効果。なぜなら、身体はボロボロだからです。まずは、休養し身体を回復させることを意識してください。

休養開始から3か月目以降の人であれば、できる範囲で身体を動かしていきましょう。でも、いきなり大きな変化は起こさないでくださいね。1,2か月家の中にばかりいた人が、いきなり外でランニングなんて始めたら2日でケガをしてしまいます。

まずは、できそうな簡単なことから始め、徐々に難度を上げていきましょう。例えば

  • 外に数分間出てみる
  • 30分ほど外を散歩してみる
  • Ⅰ時間ほど散歩をしてみる

と言った感じです。時間に余裕があるなら、1週間ごとにレベルを上げていきましょう。1週間外に数分で続けれたら、次の1週間は30分ほど外を散歩しているという形です。それを難なくこなせたら、次の一週間は1時間散歩にレベルアップするのです。

もし、30分外を散歩するチャレンジ中に週2日しか結構できなかったとしたら、週2回の散歩をもう1週間続けてみましょう。30分の散歩週2回を楽々できるようになってから、次のレベルにチャレンジしてみてくださいね。

うつ病の場合は、小さい失敗が大きなダメージになることが多いです。そうなると気持ちの不安定を引き起こしてしまい寝込んでしまいます。そうならないためにも、自分ができると思えるものからトライしてみてくださいね。

体力をつける方法については、うつ病を克服せよ!体力編1stミッション「一日起きていて!」のシリーズ記事にまとめてますので、お時間ある時に読んでみてくださいね。

まとめ:長い目で見ながら意識付けをしていこう

廃用症候群もうつ病もメンタル疾患も長期的な視点を持ち、長い時間をかけて改善していくものです。一朝一夕で良くなるわけではないことを覚えておいてください。

そして、自分に小さい変化を起こしていくことで改善されるという部分では、うつ病も廃用症候群も一緒です。自分のできる範囲で少しずつ変化を起こすことで、廃用症候群もメンタル疾患もいい方向に改善されていくと思います。ですから、諦めず少しずつ取り組んでいきましょうね。

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