うつ病を患っている娘から「死にたい」と告げられたとしたら、あなたはどんな対応をしますでしょうか?
- 突然のことでパニックになり、支離滅裂なことを言いだす
- 頭が真っ白になり硬直する
- 「そんなこと言わないで」って泣く
- 「そんなこと言うもんじゃない!!」って怒る
色々な対応がありますよね。ただ、とっさの時にやる行動というのは効果的な行動ではありません。そのため、後から後悔してしまうものです。ですから、事前に娘が「死にたい」といった時にどういう対応をとるかを考えておくことが重要です。
しっかりと考えるためには、「死にたい」という言葉の真実と対処法をしっかりと知っておく必要があります。今回は、そのことについて話して行こうと思います。
「死にたい」の意味は色々
「死にたい」という言葉は、一つの意味しか持たないようで色々な意味を含んだものです。例えば、
- 辛くて辛くて、もう限界
- 孤独すぎて生きる意味が分からない
- 将来が見えないから消えてしまいたい
- どうしていいかわからなくて死にたいくらい困っている
- 理由もなく死にたい
- 夢を叶えられないことに耐えられない
- 助けてほしい
- 死にたいけど死にたくない
などがあります。
このように「死にたい」という意味の裏には
- 伝えたいこと
- 知ってほしいこと
- 気付いてほしいこと
- わかってほしいこと
- 理解して欲しいこと
などが沢山つまっています。それは、想像もつかないような内容であることも珍しくありません。
ですから、「死にたい」という短い言葉には多くの意味や思いが詰まっているということを覚えておいてくださいね。
やるべきこと
「死にたい」という言葉の裏には沢山のことが隠れているということが分かったら、やるべきことは以下の2つです。
- 話しを聞く
- 思いを伝える
詳しく説明していきましょう。
万能の初期対応
まず、何よりも最初におこなってほしいことは娘の言葉を聞くことです。娘が振り絞った「死にたい」の言葉の裏に何が隠されているかを知るために話を聴くのです。
- なんでそう思ったの?
- どうしてそう思うの?
- 辛いよね。話聞かせてもらえる?
と、返答し、ユッタリできる場所で話を聴いてくださいね。言葉がでてこなくなってしまったら、優しく抱きしめるだけでもいいですからね。
色々な思いがでてくるでしょう。解決できないような色々な悩みが溢れるはずです。それを、まずは全部聞いてあげてください。そういう思いを持っていたと言ことを知っていってあげて欲しいのです。
伝えて欲しいこと
話しを全部聞き終わったら、話してくれたことに感謝の気持ちを伝えてください。そして、
「あなたのことを大事に思っているからね」
と伝えてほしいのです。
あなたは心の中で何度もそう思っていたでしょう。ですが、思っているだけでは不十分です。言葉にして伝えてください。それが何よりも力になります。
うつ病を治療するのは大変なことです。
ですが、本人が乗り越えていくものであって、あなたが変わりに苦しむわけにはいきません。娘が自分の足で克服していかないといけないのです。
あなたができることは思いを伝えることと支援だけ。だからこそ、自分の思いはしっかりと伝えてくださいね。あなたの思いが娘さんの力になるんです。
この2つは絶対にやって欲しいことです。それができたら、専門家の力を借りながら娘さんの体調が良くなる方向に進んでいけるように促していきましょう。
やってはいけないこと
娘がさんが「死にたい」といった時に、やるべきことはわかりましたよね。ではここで、逆に「やってはいけないこと」をご紹介していこうと思います。それは以下の通りです。
- 一人で抱え込まない
- 言いなりにならないこと
詳しく説明していきましょう。
一人で抱え込まないこと
まず、あなた一人で娘さんの言葉を抱え込まないようにしてください。というのも「死にたい」という言葉は思った以上にストレスのかかるものです。ですから、あなたには知らず知らずのうちに負担がのしかかっていきます。
これに気付かず、1人で抱え込んでしまうとあなた自身もうつ病になってしまうかもしれません。そうなっては、大変困りますよね。
ですから、頼れる人を探しておいてください。例えば
- 娘の主治医に相談させてもらう時間を作ってもらう(有料であることが多いです)
- うつ病患者を抱える家族会などに参加する
- 家族や親族で相談できる人を見つけておく
- 信頼できる友人に状況を聴いてもらう
などがいいですね。
辛くなったら、ちょっと話を聴いてもらうようにしてください。人というのは一人で考えると視野が狭くなる生き物です。そうなるとドツボにはまりいい考えが浮かんできません。ですから、客観的に見てくれる協力者を探してくださいね。
言いなりにならないこと
次に注意してほしいのは、娘さんの言いなりにならないことです。
「死にたい」という気持ちを最初にぶつけてきたときは、そういうことはほとんどありません。ただ、何度か「しにたい」ということを伝えてきたときに、他のことを要求することがあります。その時は注意してください。
例えば、
- 夢がある。それを勉強する学校にいけたら病気は良くなるかもしれない。だから、学費を出してほしい
- 顔にコンプレックスがある。プチ整形すれば気持ちも楽になるから費用を出してほしい
- 必ず治すっていう催眠療法の先生がいるの。高額だけど行かせてほしい
などです。
辛い現状から逃げ出したいばかりに、方向性の間違った解決策を考えついてしまい、あなたに要求してくるのです。
小額であれば、叶えてあげても良いでしょう。
- 美味しいものが食べたい
- プチ旅行がしたい
- 自然を見に行きたい
- 服が欲しい
などなら一緒に楽しんで大丈夫です。ストレス発散になって、症状が緩和する方向に進むことが多いです。
ですが、高額になると簡単に叶えるわけにはいきませんよね。この時に、「死にたい気持ちが楽になるのなら叶えてあげよ」と思い、無理してしまうのがNGです。
というのも、高額な要求を叶えることで、うつ病の症状が緩和することはまずないからなんですよね。それを知っておいてください。
うつ病による苦しさを帳消しにするような高額な要求は叶えても一瞬嬉しいだけで、その後は辛い日々が戻ってきます。それどころか、高額な要求で元気になると思っていた反面、それでもダメだったという事実が判明したことで、さらに体調が悪くなってしまう可能性があるんです。
しかも、悪い方向に進んでしまえば「もっと高額な要求が叶えば病気が治る」と信じ始めてしまいます。こうなると、病気を治すために多額な要求を繰り返すようになってしまうのです。最悪の場合、次は「死にたい」という言葉を武器にして、要求を押し通そうとし始めるかもしれません。これでは、事態はどんどん悪化してしまいます。
ですから、無理な要求は最初から断り、言いなりにならないようにしていきましょう。
「あなたのことは大事だけど、その要求は叶えられない」ということを、具体的に説明してあげてください。それだけで、娘さんは納得してくれるでしょう。もし、納得してくれない場合は、「その話は受け付けません」と突っぱねてくださいね。
「死にたい」という言葉の力を借りて無理難題を通すことができるという感覚が身体に染みついてしまうと、感情コントロールが難しくなってしまいます。そうなれば寛解は遠のくばかりです。ですから、心を鬼にして断る覚悟をもってください。
娘を信じよう
色々書きましたが、娘さん自身はうつ病を克服する力を秘めています。それをうまく発揮できずに、今は苦しんでいる状態です。ですから、今はあなたも本当に不安な気持ちになるでしょう。「この子の将来は、どうなるのかしら、、、」と考えだしたら夜も眠れないかもしれませんよね。
でも、多くのうつ病患者がツラい症状を克服していっています。そして、娘さんも適切な治療を続けていけば、克服していけるでしょう。
だから、娘さんの秘めている力を信じていくようにしてくださいね。
まとめ:止まない雨はない
うつ病というのは永遠と続くように感じることが多いです。将来が見えなくなって、生きる価値がないように感じてしまうんですよね。ですが、今できることを今できる範囲でやっていくことで、ちょっとずつ回復していくんです。
そのことを忘れないでほしいと思います。一進一退を繰り返しますが、俯瞰してみれば回復していくのです。
「止まない雨はない」という言葉がありますが、うつ病も同じだと僕は思っています。少しずつ歩んでいけば、トンネルを抜けることができるでしょう。
だから、まずあなた自身が信じてください。そして、娘さんが「死にたい」といった時には受け止めてあげてください。そのうえで、娘さんの秘めている力を信じながら、じっくり話を聴いてあげてくださいね。
大丈夫です。あなたの思いは届いています。娘さんも、良くなろうと必死です。後は、歯車がかみ合わさるタイミングを待つだけですからね。