部下が欠勤をくりかえすとき、おもわずきつい口調で怒ってしまうことがあるでしょう。
健康な身体の部下なら大丈夫ですが、うつ病をわずらっている部下にはきつい口調で叱責するのは非常に危険です。なぜなら、再発の危険性があるからです。
大切な部下を意図せずに不調の闇に落とす前に、欠勤をくりかえすときの対処法を覚えていってください。これができると人事からの評価もあがることでしょう。
うつ病部下への注意の方法
うつ病をわずらう部下への指導方法は3つの基礎が重要です。
- 冷静に落ち着いて穏やかに
- 原因を聞きだすのが最優先
- 対応策を一緒に考える
この3つを抑えることができれば部下の再発確率は下げることができるでしょう。詳しく説明していくので、しっかり覚えていってください。
冷静に落ち着いて穏やかに
どんな部下に接する時にも大事にしていただきたいのがこれです。うつ病をわずらうと、わずかなことにも敏感に反応してしまいます。
ですから、より冷静に落ち着いて穏やかにコミュニケーションをとるようにしましょう。
もっと具体的にいえば、冷静な対応とは相手の一言ひとことを自分の価値観で判断せず、相手はそう思っているんだなと受け入れることです。
落ち着いた対応とは、適度なリラックス状態でコミュニケーションがとれるようにすることです。お前が悪いことしているんだ!という感情があると、落ち着いた対応とはいえません。
連続でやすむということは非常に困った状況に陥っています。そこに助け舟をだすつもりで対応すると落ち着いた対応になるでしょう。
穏やかな対応というのは動きや口調、話すスピードが相手にとって心地よいものだということです。
相手よりも非常に速いスピードではなすと穏やかに話しているようには聞こえません。部下がしゃべっているのを遮って自分の話をはじめるのは怒っている印象を相手に与えます。
口調はやさしくても身体に落ちつきがなかったり貧乏ゆすりをしていたりすれば穏やかな対応とは程遠くなります。椅子にゆったりとすわり、なんでもはなしてみろというような親戚のおじさんのような雰囲気がもっとも穏やかな対応といえるでしょう。
原因を聞きだすのが最優先
冷静におちついて穏やかに話しをすることができれば、部下から欠勤に関する情報をきいていきましょう。
一番知りたいのは欠勤が始まった理由です。
恐らくは、「体調がわるくて、、、」と漠然とした回答が返ってくるでしょう。そのときは、いつぐらいから体調がわるくなってきたのか、きっかけはあるのかと聞いてみてください。
ただし、矢継ぎ早に質問責めするのはやめましょう。部下のペースで少しずつきいていってください。
体調がわるいなら後日にしきりなおすのも一つの手です。
対応策を一緒に考える
原因がわかったら一緒に対応策をかんがえてあげてください。業務負荷が高いのが原因であれば、可能な範囲で業務調整をおこないましょう。
不眠傾向がある場合は、主治医へ相談しているかどうかを確認してあげてください。休憩時間に仮眠できる空間を作ってあげるのも一つの手です。
大した改善策を提示できなくてもいいのです。一緒に悩み、ともに考え、同じ時間を共有するだけでも部下にとってはプラスの効果が伝わるのです。
うつ病部下が休みを繰り返す理由
うつ病をわずらっている部下への対応方法がわかったかと思います。後は、部下の状況を把握するために「なぜ、やすみを繰り返すのか?」を知っていきましょう。
部下が休みを繰り返す理由は悪循環によるものです。大まかな流れは以下の通り。
- 不調になり休む
- 自分を責める
- ストレスをさらに抱え込む
- 不調に拍車がかかる
- 次の日も休んでしまう
- 自分を責める
- 上記をくりかえし病状が悪化
これを知っていることで、無意味に怒ったりしないですむようになるでしょう。もう少し詳しく説明していきます。
休みたくて休んでいる訳ではない
仕事を休みたいから休んでいると思ったら、それは間違いです。部下も仕事は休みたくないと思っています。
しかし、うつ病をはじめ精神疾患・精神障害をわずらうと不調の波が襲ってくることがあります。どんなに対策を打っていても、不調は必ずといっていいほどやってくるのです。
そのため、急に休んでしまうことが起きます。
めちゃくちゃ自分を責めている
だれよりも休みたくないと思っているにもかかわらず、病気の不調によって欠勤をしてしまいます。
それに対して一番憤っているのは部下本人です。自分を責めに責め、存在価値などないと存在否定に発展していることは少なくありません。
その行為自体が、さらなるストレスを抱え込み、より不調にあっていくのです。いきつくさきは連続して欠勤してしまうことになります。
また、欠勤してしまったことにより自分の社会人人生が終了したと感じてしまう人もいます。
うつ病というのが厄介なのは極端な考えに拍車がかかることです。1回の欠勤だけでクビになることなどないですが、うつ病をわずらっていると心の底から一回のミスでクビになると思い込んでしまうのです。
結果、会社に行くことができなくなり連続して欠勤してしまうのです。
部下の連続欠勤を防ぐ対策
部下の連続欠勤を防ぐ対策として、以下の方法が有効です。
- 突発での欠勤は1日までならOKと事前に伝える
- しかし、次の日は会社で寝ててもよいからどうにか出社して欲しい
ということを部下に伝えることです。
連続で欠勤すると再出社することが非常に難しくなります。うつ病の症状もどんどん強くなり再休職してしまう確率もグンとあがります。
ですから、悪循環をたちきる方策が必要です。さらに、突然の不調には休養をあたえる必要もあります。
よって、上記のような対策を事前に設置しておくのです。
「会社に来て寝ててもよい」と伝えると「そんな甘いことを許可するわけにはいかない」と思うかもしれません。しかし、会社にきて本当に寝てしまう部下はほとんどいません。
仮に会社で連日寝るようになってしまったら、それはすでに再発している証拠です。その場合は、産業医や主治医と相談して休職の相談をする必要があるのです。
大事に思うことが支援のカギ
うつ病をわずらっている部下は、どうにかして会社に貢献したいと思っています。自分の存在が誰かのためになればいいと強く感じているのです。
ですから、休んでしまうことに非常にストレスがあります。その気持ちの空まわりが連続の欠勤をよびこんでしまうのです。
そのような不幸をなくすためにも、部下のことを大事におもうことが大事です。その気持ちは敏感な部下にストレートに伝わります。
それにより、部下は徐々に本調子を取り戻していけるでしょう。
感情コントロールはビジネスにも活きる
うつ病をわずらった部下を担当すると、非常に細やかな気遣いや感情コントロールが必要にあるケースが増えるのは事実です。
それを毛嫌いする上司も少なからずいるでしょう。
しかし、そのようなスキルを身につけることができればビジネスにも転用することができます。
細やかな対応スキルやコミュニケーションスキルというのは相手を心地よくさせ、協力しようという気持ちを育みます。
それによりチーム運営や共同作業が順調に進み、抱えているプロジェクトを成功に導く確率が高まっていくのです。
部下の支援は全てのビジネスにつながります。自分の力量を高めるためにも少しずつ意識を変えていきましょう。