うつ病をわずらっている部下がいるとケアに時間がとられることが多く、管理職や一般職員の負担が多くなるのが一般的です。
そうなると必ずといっていいほど現れるのが「うつ病になった部下などいらない」と考える上司です。自身も追い詰められているのでしょうが、このような考えを抱き続けると自滅にいたります。その理由を説明していきましょう。
うつ病部下を切り捨てるデメリット
うつ病部下を切り捨てるデメリットは以下のとおりです。
- 管理している部署の問題点が見えなくなる
- 人が育たなくなる
- 自分本位な人材ばかりになる
- 辞める人がふえる
- メンタルヘルス問題をかかえる人がふえる
- 上司自身も切り捨てられる
それぞれに分けて説明していきましょう。
管理している部署の問題が見えなくなる
うつ病をわずらった部下を切り捨てる最大のデメリットは部署の問題が見えなくなるということです。
そもそも不具合を生じた人間を切り捨てるという行為は「こちら側に落ち度がない」といった行為です。
しかし、部下がうつ病になるということはその部署に何かしらの欠陥があるということです。それを試みず全てを部下のせいにすると問題点は改善されません。それどころか問題はどんどん大きくなっていきます。
結果、さまざまな問題が浮上し管理ができなくなっていきます。
人が育たなくなる
うつ病の部下を支援する・支えるということは、相手のことを考え何が必要であるのか、どうすればいいのかを一緒に考える行為です。
これは人材育成と一緒。これができない。むしろ、使えない人材は切り捨てるなんてマインドで人事を考えているとしたら人を育てる行為の根幹がない場所ということです。
そんな場所では人は育ちません。
こういう話をすると「いやいや、うつ病部下のフォローと人材育成は別でしょ」という人がいますが、それは違います。
人が育つには試練と克服がワンセットで必要です。簡単にいえば適切なストレスをかけ、それを部下が乗り越えることで成長するのです。
そのストレス管理ができないから部下がうつ病になっている。それを理解していないからうつ病と人材育成は違うという発想がでてくるのです。
自分本位な人材ばかりになる
うつ病になったら捨てられる。そういう文化が部署にはびこると、そこで働く人たちは守りにはいります。
無茶をして頑張りすぎれば、ぼろ雑巾のように捨てられる。そうなるくらいなら自分だけのために頑張ろうと考えるのは至極まっとうな考え方です。
誰かのために頑張るくらいなら自分を守るために頑張る。結果、チームプレイは崩壊し他責と自己アピールの世界が整っていくのです。
個人プレイだけで業績をあげられる職種ならいいですが、多職種連携が必須の業界であれば、この意識は組織の崩壊を導き出します。
組織が崩壊すれば、上司の手腕を疑われるのは間違いありません。
辞める人がふえる
一生懸命がんばっても使えなくなったら捨てられる。そういう職場では一生懸命働きません。一生懸命に働かなければ仕事へのモチベーションや意欲を失っていきます。
結果、今の仕事に不満を抱くようになります。その不満を抱えきれなくなると人は転職するのです。
あなたが部下を大事にしていないということがうつ病部下を切り捨てることで知れわたります。
メンタルヘルス問題をかかえる職員が増える
上記のような現象がおきると職場はどうなるでしょう。
職場が抱える問題が解消されず、むしろどんどん増える。組織をささえる人材は自分のことだけを考え動き、人を育てる文化もきえていく。
やる気を失った職員は退職し人は減っていく一方。でも、仕事は減らない。むしろ増えていく一方。
もうお分かりになったと思います。そう、メンタルヘルス問題をかかえだす職員が増えるのです。
そして、実力を発揮できなくなる職員がふえ、職員一人にふりかかえる負荷は大きくなる。結果、次々と部下たちは倒れていってしまうのです。
上司自身も切り捨てられる
ここまでくれば、組織は崩壊しています。結果も出せなければ赤字だらけの酷い状況。
さて、上司のさらに上の人々はこの状況をどう考えるでしょうか?
もし、この会社のマインドが「使えない奴は切り捨てる」であれば、上司は降格をまぬがれないでしょう。最悪、解雇です。組織を壊滅させたんですからね。
うつ病だから、使えないからと人を切り捨てる行為は最終的には自分を苦しめる行為となることがわかっていただけたでしょうか
本質がどこになるのかを探る習慣をもとう
うつ病の部下をもつと通常業務のほかに配慮しなければいけないこと、やらないといけないことがでてくるので大変です。これが現実です。 それは否定しません 。
しかし、そもそも部下がうつ病になった理由をみつけないと状況は好転しません。
本質を見ようともせず、全てを部下の責任にして切り捨てる行為をすれば状況は悪化していくでしょう。